先週に続き今週末も3歳重賞が全場を通して組まれておらず、いわばクラシック戦線も小休止といったところ。土曜(26日)中山の1勝クラス・
水仙賞(芝外2200メートル)は、同じ中山が舞台でも
皐月賞より1ハロン距離が長く、時間的な猶予も加味すれば、ダービー出走へと望みをつなぐ馬たちが集結するレースと言えようか。
その中で当欄が注目したのは1戦1勝の
アクアテラリウムだ。デビュー戦は偉大なる厩舎の先輩
エフフォーリアが
有馬記念を制した2日後の中山芝内2000メートル。軽快に先手を取ったものの、4角では外に膨れてしまうなどの若さを見せたため、わずかハナ差の、薄氷を踏む勝利となった。
気性に問題あり? そう思わせる初陣内容となったが、鹿戸調教師によると「気性が悪いわけではなく、まだ馬がガキなだけ。走っている最中もすぐに他のことをしたがるんだ。まあ、初戦は能力だけで勝ったようなものだよ」。
この“能力だけ”の言葉でふと頭をよぎったのが、先日の
共同通信杯を同じく1戦1勝の身ながら爆勝した
ダノンベルーガ。昨年は
エフフォーリアが制するなど、近年ではクラシック直結の前哨戦として重要な立ち位置にあるレースを、最少キャリアで勝ってしまった衝撃はとてつもなく大きかったが、戦前にこの
ダノンベルーガを管理する堀調教師は「現状はポテンシャルだけ」とコメントしていたのだ。
かつて“休み明けは不利”が常識だった時代がとうに過ぎたのと同じく、“キャリアの浅さ”もまた、近代競馬ではあまり関係なくなりつつあるのかもしれない。もちろん、2人のトレーナーが口にした“能力=ポテンシャル”があってこそなのだが…。
短期放牧を挟んで2戦目に挑む
アクアテラリウムの現状を「まだまだ子供っぽいけど、一旦放牧に出して良くはなってきているし、以前よりは走りに集中力も出てきた。それでもまだ全然、成長の途中ではあるけどね」と説明した鹿戸調教師は「まあ、能力は確かだからね。あまり後ろからの競馬だと気持ちが途切れる可能性があるので、初戦のように後ろからつつかれる競馬のほうが持ち味を生かせるかな」との見通しを示した。
半姉に
エリザベス女王杯の勝ち馬
クイーンズリングがいるなど、血統的な筋もしっかり通っている「遅れてきた大物」がダービーには間に合うと感じさせる快走を見せることができるのか。
アクアテラリウムの走りに注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ