春は旅立ちの季節だ。2月末、東西の調教師が引退する。長くもあり、短くもあったトレーナー人生-。刻一刻と迫る最後の週末に向けて、胸の内を語った。
高橋祥師と言えば、代表馬として96年NHKマイルCを制した
タイキフォーチュンや、砂の重賞8勝馬
サウスヴィグラスが思い浮かぶ。ただ、師は思い出の馬を聞かれると、83年の開業時に在籍していた10頭を挙げた。
「最初は8頭しか集まらず、父から2頭をもらって31歳で開業しました。その10頭がどれも活躍したのです。
ダイナシュガーは開業翌年の4歳牝馬特別(現・フィリーズR)を勝ってくれました。今思うと、あそこがうまくいったから、ここまで来られたのだと思っています。厩舎の礎をつくってくれました」
昭和の競馬界では常識とされていた“午後乗り”を日本で初めて廃止。そんな斬新な手法を周囲に批判されることもあったが、自らの熱意と信念を貫きながら40年間のトレーナー人生を駆け抜けた。
調教師としての最終週は日曜中山11R・
中山記念の
カラテなど9頭を送り込む。「最後だし、日曜の朝はゆっくりと調教を見てから競馬場に行きたいね」。万感の思いを胸に、ラスト勝負の時を待つ。
◆高橋祥師・戦歴 96年NHKマイルC=
タイキフォーチュン、02、03年根岸S=
サウスヴィグラスなど、重賞12勝(うちG11勝)を含むJRA通算624勝(※他に03年JBCス
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サウスヴィグラスで制覇)
提供:デイリースポーツ