栗東トレセンの調教スタンドの構成を大まかに説明すると、1階はジョッキーや厩舎スタッフ、2階は調教師、3、4階が日刊紙、専門紙などの
メディアのフロアとなっている。各階に通称「たばこ部屋」と呼ばれる喫煙スペースが設けられてはいるものの、片隅に追いやられ、喫煙者は肩身が狭いのは一般の社会同様である。
入り浸り? の4階のたばこ部屋での会話はたわいないものがほとんどなのだが、たまに関係者が上がってきて、ポロッと本音を漏らしたりすることもあり、実は意外な情報収集の場にもなっていたりする。噂話や陰口など、ここには載せられない話も多いのだが…。
その4階たばこ部屋の愛用者の一人が
ソダシを管理する須貝調教師。昨年の
オークスで初の敗戦を喫した翌週は「道中ピタッと馬体を併せられたからなあ〜。距離がどうのと言われるけど、(2400メートルも)絶対もつ。いつかリベンジするよ」。さらに
フェブラリーSの週には「深い砂での稽古でもあれだけ動けるんだからダートがダメなわけはない」。そう、実に興味深い本音が聞けたりするのだ。
別のある調教師にデビュー前の2歳馬について聞いた時などは、こちらが「初めての競馬ですし、いい馬場でレースをさせたいですね」と話を振ると、「仮にもダービーを目指している馬。道悪がどうのこうのなんて言ってられない」とお叱りをいただいたことも…。ある意味、関係者から最も本音を聞き出せる貴重な場なのだから、たばこ代を会社が経費として認めてくれないかとも思う次第である。
前振りがかなり長くなったが、本題は4.10
桜花賞の最重要TR・GII
チューリップ賞(5日=阪神芝外1600メートル)。その
ターゲットは
サウンドビバーチェだ。前走の
菜の花賞では最内枠からスタートを決め、好位内の絶好ポジションから直線で抜け出し、2着に1馬身半差をつける鮮やかなレースぶりだった。
「実は
フェアリーSを除外になり予定が狂った影響もあって、レース前から
テンションがかなり高かったんだ。それでもレースでは我慢が利いていたし、しっかりと勝ち切ってくれた。1週前追い切りも長めから行って、しまいまで伸びていたし、ここまでは何の不安もなくきています」(平助手)
阪神JFを制した
サークルオブライフや1番人気に支持された
ナミュールなど強敵揃いだが、「前走を見て改めて走る馬だと感じたし、うまく折り合って運べれば」と平助手は相当な色気がありそうなムード。前走で見せたレース巧者ぶりを発揮すれば…。いずれにしても、馬券的な妙味十分な存在であるのは間違いない。
えっ、前振りを考えれば、4階たばこ部屋での取材の成果なのかって? いやいや、他の場所でも普通に取材をしてますから。
(栗東の喫煙
マッスル野郎・芝井淳司)
東京スポーツ