子供のころから
ジェットコースターが苦手だった。なんでかって前も横もろくに守られていない中、あんな速いスピードで駆け巡るんだから…。皆さん、なんで平気で楽しめるんだろ?
といっても記者が若かりしころは、せいぜい50キロ前後のスピードしか出ていなかったはず。大人になって花やしきの
ジェットコースターを外から眺めていると、確かにそれほどスピードが出ているようには見えない。それでも当時は倍の100キロは出ていると感じていたほどだから、スピード感覚のズレは相当なものだった。
で、この前振りが競馬にどうつながるのかといえば…。
弥生賞ディープインパクト記念(6日=中山芝内2000メートル)に出走する
アスクビクターモアの追い切りは見た目とタイムに記者の中でかなり誤差が生じていることを強調したかったわけです。
もともと稽古は動く馬という認識もあるせいか、南ウッド単走での1週前追いは、この馬にしては少し物足りなく感じた。ところが、数字を見ると5ハロン66.3-11.8秒と普段の併せ馬と同じくらいのタイムが出ていたのだ。実はこのギャップ、騎乗している高木助手にも若干あるようで「とてつもなく切れるというタイプではないんだけど、自分が乗って頭の中で数えている感覚よりも、実際のラップを見ると時計が出ている。明らかに速いなっていう感じではないんですけどね」と、いい意味でのズレを実感していた。
この話を踏まえた上で最終追い切りをしっかりチェックしたのだが、やはりそれほど速いタイムが出ているように見えなくても、ラスト1ハロン11.6秒(5ハロン65.6秒)と実際は1週前よりもさらに速いタイムをマーク。「ス
トライドが大きいですし、小脚の利くタイプの馬ではないですからね」と高木助手が解説する通り、回転の速いフットワークではないからなのかもしれないが、自分の感覚がいかにあいまいなものかを再認識させられた。
「現状はヨーイドンの瞬発力だと分が悪いですが、切れない分だけトップスピードに上がってからの持続力はありますね。稽古でも
フィニッシュラインを越えてからもペースは落ちないですし」と高木助手。要は見た目に感じる以上のスピードと持続力を秘めているのだろう。そして「(ワンターンの)東京2戦(新馬戦、アイビーSとも3着)は少しかかってしまった。その点、コーナー4つの中山は2戦2勝の結果通り、折り合いもつきやすいし、自分のリズムで競馬ができる。重賞は初挑戦になりますが、
ジオグリフや
アサヒ、
ドウデュースなど、世代トップクラスの馬たちと接戦ができていますからね」と格負け感がないのも確かだ。
負けなしの中山で、開幕週のような前&内有利の馬場を最大限に生かせれば、記者が感じる見た目とのギャップだけでなく、人気とのギャップを感じさせる走りを見せてくれるかもしれない。
(美浦のギャップ追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ