「中山牝馬S・G3」(12日、中山)
外から勢い良く追い込んできたのは、15番人気の伏兵
クリノプレミアム。中団待機策から4角手前でスパートをかけ、ゴール前の接戦を制した。松岡は「道中は余裕があり、この馬にとってはいいペース。坂でもうひと踏ん張りしてくれたので、あそこで勝てると思った」と、会心の勝利を振り返った。
近年、ケガに悩まされた鞍上も喜びひとしおだ。20年2月に落馬し、左大腿骨を骨折。同年10月末に
香港Cの
ウインブライトに騎乗するため一度復帰したものの、その後再び長期離脱し、21年11月に本格復帰を果たした。「年を取ってきたので感慨深いものはないけど、チャンスは常に生かそうと思っていた」。ブライトでの19年
中山記念以来となるJRA重賞Vに笑顔を見せた。
伊藤伸師にも重みのある勝利となった。松岡が落馬時に騎乗していたのは師の管理馬
ゴールドミッション。それだけに、「うちの馬でケガをして、1、2年を棒に振ってしまった。正海で勝ってくれたことが本当にうれしい。すっきりしました」と晴れやかな表情だ。愛馬の今後については、「福島牝馬Sを予定していたけど、これから考えます」と明言を避けた。
「ケガから復帰して成績も振るわなかったけど、若い騎手に負けないよう、これを機に頑張っていきたい」と鞍上は前を向く。騎手として、もうひと花を咲かせてやる-。ベテランに差し掛かった37歳にとって、今回のタイトルがターニングポイントになりそうだ。
提供:デイリースポーツ