何事にも勢いが重要なのだとすれば、3日間競馬の最終日に組まれているGIII
フラワーC(21日=中山芝内1800メートル)の
シンティレーションにはその重要なものが備わっている。
管理する池上調教師は5日に節目の
JRA100勝を達成(3勝クラス・上総S=
ホウオウルバン)。同時に多数の準オープン馬を抱えていた中で、ようやくオープン入りを果たす馬が現れる機会に恵まれた。となると、次なる目標は
JRA重賞初制覇である。
過去には2015年ステイヤーズSの
カムフィー(2着)、19年ニュージーランドTの
ヴィッテルスバッハ(3着)などの好走歴があり、いよいよ今年こそは…の期待が厩舎担当の記者としても膨らむばかり。3連勝中の
ホウオウルバンが…いや、それより前にこの
シンティレーションが大仕事をやってしまうかもしれない。
昨夏に函館芝1800メートルでデビューして、2戦目の札幌芝1800メートルで初勝利。2か月のレース間隔を空けて
アルテミスSに挑んだが、後の2歳女王
サークルオブライフの0秒7差6着に敗れた。ターニングポイントはその後に3か月の休養を再び挟んだことにあろうか。これが師の想像以上の成長をもたらした。
「もともと能力は感じていましたけど、中身がまだ伴っていなかったので、むしろ2勝目をこんなに早く挙げられるとは思っていませんでした。成長自体は感じていたので、ある程度の自信はあったんですが、まあ思惑通りに結果が伴うことは本当に少ないですから」
期待通りに結果を出すことの難しさは、これまでの調教師生活で身をもって感じている。それだけに
シンティレーションが
若竹賞(中山芝内1800メートル)で見せた着実な
ステップアップを高く評価している。
「前走を見ても、やはりコーナー4つの競馬のほうが合いますね。ポジションはいつもより後ろになりましたが、コントロールが利くのでどんな競馬でもできる。まだまだ良くなっていく段階ですが、重賞でも楽しみはありそうです」
未勝利勝ち時に2着に退けた
ポッドボレットは後にリステッドの
すみれSを制した牡馬の実力派。師も認める良績集中の“コーナー4つ”の舞台なら現状の戦力でも相当なものなのでは。今の厩舎の勢いも加味すれば、重賞初制覇のシナリオは十分な現実味を帯びている。
(立川敬太)
東京スポーツ