3月27日(日)に
佐賀競馬場にて、第19回はがくれ大賞典が行われます。
「はがくれ」は漢字で書くと「葉隠」で、佐賀鍋島藩において江戸時代の中期に書かれた武士の心得を説いた書物。
佐賀競馬場のパドックが日本で唯一、右回りのままで残っているのも「馬を曳いているときに刀を取り出す場合、馬の左側にいると出した刀が馬に当たる」または「馬の左側で曳くと、右利きの人は刀を取り出すのが遅くなる」ために、人間は馬の右側を歩くという佐賀鍋島藩の伝統から(諸説あります)。
今はそういう時代ではないですが、それでも競馬場は戦いの場。今年は賞金額が昨年よりも増加して、兵庫から3頭の遠征馬を迎えることになりました。
この重賞が地方全国交流として実施された2014年以降は、8年で兵庫からの遠征馬が6勝。地元所属馬の勝利は2017年の
コウザンゴールド、2020年の
キングプライドだけとなっています。
そういう状況だからこそ、迎え撃つ陣営は負けたくないところ。今年の地元の大将格は、古豪の
グレイトパールが担います。
グレイトパールは3年連続での出走。一昨年は1番人気で5着、昨年は4番人気で7着でした。しかし今年は、7か月の休養を経た昨秋以降が調子良好。2月中旬に砂が増量された今の馬場状態も歓迎材料で、馬体重の大幅な変動がなければ首位争いが狙えそうです。
アンバラージュと
トゥルスウィーの牝馬2頭にもチャンスがありそう。
アンバラージュは2020年の
グランプリ・
中島記念を制覇。昨年は下半期を全休しましたが、年明けの復帰戦以降は徐々に調子を上げて、前走のA1、A2混合戦を圧勝しました。中1週が続くローテーションですが、2020年には地元戦から中10日で門別の
ノースクイーンカップに遠征して、ハナ差2着に入った経歴の持ち主。間隔が詰まっているほうが力を出せるタイプかもしれません。
トゥルスウィーは昨年の
九州ダービー栄城賞を勝ち、秋のロータスクラウン賞も制して佐賀の3歳三冠を制覇。休養から復帰した2戦は差のある敗戦を喫していますが、長く使える差し脚がいきる形になれば、上位争いに加わる可能性が出てきそうです。
しかしながら遠征馬の顔ぶれは強力。なかでもこのレースで3勝、2着1回と圧倒的な成績を残している
エイシンニシパに注目です。
1回目の出走は2018年で、兵庫が今のような賞金体系になる前。そのために積極的に“賞金を取りに行く”形でした。しかし昨年も新春賞とこのレースを連勝。兵庫はこの時期に古馬中距離の重賞がないという点を考慮すると、今年も“取りに来た”と考えるべきでしょう。
さらに兵庫からは、
アワジノサクラと
スマイルサルファーの“地元デビュー馬”が参戦。
アワジノサクラは相手なりに走れる点が強み。
スマイルサルファーは前走こそ大敗しましたが、爆発力がある末脚が魅力。どちらも上位争いに加わる可能性は十分にあります。
最後に「はがくれ大賞典の気になるデータ」をご紹介(地方全国交流になった過去8年が対象)。
☆3走前までに、佐賀以外の重賞で2〜3着に入っていた馬が“1頭だけ”連対している。
なんと今年も
エイシンニシパが該当馬(2走前が
園田金盃で2着)。となると、このレースでの4勝目は濃厚?
もうひとつ、こんな「小ネタ」もありまして…
☆通算の勝ち星が11〜18の馬が7年連続で“1頭だけ”連対している。
エイシンニシパは通算21勝なので、このデータに当てはまらない……。今年もこれが継続するのなら、相手はわりと絞れるかも!?
はたして今年はどういうレースが見られるのか。
佐賀競馬場の2000mで行われる「はがくれ大賞典」は、3月27日(日)の18時05分に栄光へのゲートが開きます!
(文:浅野靖典)