ドバイワールドカップデーの大活躍で改めて日本調教馬の強さを世界に知らしめた一方で、国内GIも質を落とすことなく、好メンバーが顔を揃えるあたりは、日本競馬全体のレベルアップが図られている証しではあるのだが…。
先週の
高松宮記念に参戦した
サリオス、今週の
大阪杯(4月3日=阪神芝内2000メートル)に出走する
レイパパレ、
ヒシイグアスは当初、選択肢に入れていた4月の香港国際競走が、現地調教馬だけの開催となったことで国内のレースに狙いを絞ったローテーションへと組み直した経緯がある。それによって日本のスターホースたちが大挙してドバイへと遠征した同時期のGIであってもレベルが担保される副産物を生み出した格好。やはりこの時期のGI開催のレベル確保は今後も課題になっていく。と同時に今回はその
イレギュラーな要因によりアオリを受けた馬がいたことも伝えておきたい。
斉藤崇厩舎は
大阪杯に2頭がエントリー。登録時点での出走馬決定賞金順位は
ステラリアが10番目、
ジェラルディーナは17番目となった。要は当初予定していなかった馬たちの急きょの参戦によって、
ジェラルディーナは補欠の1番手へと追いやられる形に。本格化の道をたどる名牝
ジェンティルドンナの娘がGIの舞台でいかなる走りを見せるのか、個人的にも注目していただけに残念な知らせではあるが、ゲートインするだけでも大変な苦労があるからこそ最高峰のレースなわけで。楽しみは先へと延ばして、まずは
大阪杯に好メンバーが集ったことを喜ぶのが競馬ファンの正しい在り方と思われる。
ジェラルディーナが出走できない分も、僚馬
ステラリアを応援する形で。
ちなみに「
ステラリアが自重すれば、
ジェラルディーナが出走できるじゃん」といった外野からの声も聞こえてくるが…。これは全くの別問題であり、少なくとも陣営にそういった考えはみじんもなかったことだけは強調しておきたい。
それにしても
ステラリアのここへきての人気凋落ぶりはいかがなものか。確かに前哨戦の
金鯱賞では見せ場なく11着に敗れた。さらにメンバーの揃うGIでは…と判断されるのも当然なのか? いやいや、陣営は前走の敗戦を踏まえたこの中間の調整で、状態を上げてきたことに手応えを感じている。
「前走は調教で動かし切れなかった。まだ仕上がり途上にあった分、レースの走りにも影響してしまったようです。でも前走を使った後からはいいフォームで走れるようになっていますし、今週の追い切りでも併せ馬でしっかりと反応できていました。もともと調教で速い時計の出るタイプではありますが、前走時とは動きの質が変わってきた感じがするので、今回は違ったレースができると思いますよ」(斉藤崇調教師)
調教で抜群の動きを見せていても、馬体を見れば線が細い印象は拭えず、レースで安定して期待に応えるだけの走りを見せられなかったのが2、3歳時の
ステラリア。しかし、そんな中でも
忘れな草賞優勝や
エリザベス女王杯2着など素質の片りんを示してきた。その間には
クロノジェネシスの併走パートナーなどを務めることで地力強化を図り、さらにはここにきて馬体やハミ受け等に成長も見せている。ここで
ステラリアが大仕事を成し遂げても決して驚くことではないと思っているのは果たしてバーン野郎だけなのだろうか。
(栗東のバーン野郎・石川吉行)
東京スポーツ