「
桜花賞・G1」(10日、阪神)
華やかな顔ぶれとなった桜の大舞台。最重要
ステップである
チューリップ賞の覇者
ナミュールが第1冠の主役を堂々と務めるか。同馬を管理する
高野友和調教師(46)=栗東=に直撃した。
「種付けから育成と、携わってきた多くの人の思いがある。それだけに重みを感じます」。一生に一度のクラシックシーズン。競馬関係者にとって、そこにかける思いは強い。
チューリップ賞を圧勝した
ナミュールを送り込む高野師も例に漏れず、クラシック初制覇へ向けて気持ちは高ぶっている。
さかのぼること約30年前。競馬に興味を持った高校生の高野少年。その中でも好きだったのは86年の英2000ギニー、
凱旋門賞を勝つなど、欧州競馬を席巻した
ダンシングブレーヴだ。部屋にはポスターも貼ってあったという。「胸をときめかせる存在でした。日本に種牡馬として入ってきた時も“すごいのが来た”とワクワクしました」と懐かしむ。
競馬の道へと導いたその名馬の血は、
ナミュールの中にも流れている。師は少年のような表情で「この馬の母系は
ダンシングブレーヴから
キョウエイマーチ(97年
桜花賞馬)へと続く血統。軽さと瞬発力はこの血の遺伝だと勝手に想像しているんです。だって、うれしいじゃないですか」と興奮気味に語った。
「新馬戦を勝った時に頭の中に
桜花賞がよぎったほどの馬。クラシックはホースマンにとっての夢ですから」。若き日に熱狂した
ダンシングブレーヴの血を持つ逸材と挑む、牝馬3冠初戦の桜舞台。きっちり仕留めて、
ナミュールを名牝の道へと歩ませる。
提供:デイリースポーツ