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【桜花賞】ライラック名手確保の幸運 福永は「ヴィブロスみたいな感じ」/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2022年04月06日(水) 18時01分
 ここ一番のクラシック、しかもテン乗りともなれば、勝算のある馬ほど調教でのコンタクトは必須要件となろう。デビュー3戦で手綱を取ってきたM.デムーロから乗り替わりとなるライラックの1週前追い切りには新コンビとなる福永が美浦トレセンを訪れ、しっかりとその背中の感触を味わった。いや、その前に「名手」福永を確保できたこと自体に運がある。

 年明けのフェアリーSを勝ってすぐに、トライアルは使わず、桜花賞(10日=阪神芝外1600メートル)に直行するプランが決定。一方でデムーロは2歳女王サークルオブライフの主戦でもあったため、早々とクラシックでの連続騎乗を諦めざるを得ない状況にあった。となると、なるべく早く、なるべくいい騎手を確保するのがセオリーとなるが、管理する相沢調教師はここで“待ちの手”に出た。

「あえてトライアルが一通り終わるのを待って探すことにした。そうしたら彼(福永)が空いていて…。あれだけのジョッキーが騎乗してくれるのはありがたい」

 焦らずにギリギリまで待って情勢を見極め、最上級の鞍上確保に成功したのだ。福永が昨年暮れの香港での落馬負傷から復帰したのが2月5日。フェアリーS直後に急いで探していたなら実現しなかったコンビだ。

 さて、本題の福永の感触を伝えねばなるまい。1週前追い切りでライラックの背中から降りてすぐに相沢調教師と言葉を交わし、その直後に取材に応じた鞍上は「ゴールを過ぎてからも余裕があって、いい動きでした。それに追い切った後の雰囲気がいい。落ち着いているし、息の入りも良かった。調子の良さが感じられましたね。

 休み明けは全く問題ないタイプ。小さいけど、きゃしゃな感じがしないというか、非常にバランスのいい、質の高い走りをする」とまずはその素材に高い評価を与えた。

 ライラックは2戦目の京都2歳Sに向けて美浦を出発する際に馬運車に乗るのを極度に嫌がり、大幅に時間を要したほか、現地入りしてからも落ち着きがなく、初戦から10キロ減の馬体での出走となった。これが8着大敗という結果にも影響しているとなれば、今回も同じ阪神遠征になるだけに気になるところだが…。

「気性に難しいところはあるみたいだけど、前回は落ち着いていたみたいだし、この中間も同じように来ていると聞いている。乗った感じからも全く心配はしてないよ。ゲート裏でテンションが上がる面も厩舎でケアできているようだからね。いいスタートさえ切れれば、流れに戸惑うことはないだろうし、極端なレースをしなくても対応できるでしょう」

 さらにはこれまでにまたがってきた数々の名牝との比較を聞くと…。

「小柄でも牝馬らしい、いい切れ味を感じさせる身のこなしをしますから。ヴィブロス(福永の手綱で秋華賞を制した時は414キロの小兵)とか、あんな感じですかね。力は十分に足りる。まだ3戦のキャリアだし、あまり(戦法を)決めつけ過ぎずに持ち味を生かす競馬をさせたい。楽しみですし、本当に(調教を乗りに)来て良かった」

 名手確保の幸運、そしてその名手をして比較対象にGIホースの名が挙がるほどの能力…。ライラック桜花賞の台風の目になる可能性は相当高いと思っている。

(立川敬太)

東京スポーツ

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