「
桜花賞・G1」(10日、阪神)
最短ローテで1冠目に挑む
ピンハイ。21年3月に厩舎を開業した
田中克典調教師(34)=栗東=にとっては、今回がG1初挑戦だ。
ピンハイと指揮官の出会いは、技術調教師となった2年前の夏だった。「オーナーさんが矢作さん(義父)と懇意にされていて、(妻の)麗を娘のような感覚でかわいがってくれていたらしいんです」と預託の経緯を説明する。
21年秋の新馬戦は鮮やかな差し切り勝ち。「初めてデビューさせる世代。これだけ乗り込んで、これだけ動いたら使っていいかな、という感覚でした。ゴール前で狭い所を割ってグイッと出たので、いい馬なのかなと思いましたね」と振り返る。
ただ、次戦に予定していた
赤松賞は自重することに。「1週前から体が減って、毛ヅヤもさえなくて。当週に“やめさせてください”と。開業したばかりの調教師なのに聞いてくれるなんて、ありがたく思います」。技術調教師時代の1年の大半を
藤沢和雄元調教師に師事。『一勝よりも一生』-。その言葉に倣った勇気ある撤退が、
桜花賞出走へとつながった。
勝てば、調教師として
桜花賞史上2番目の年少記録(34歳7カ月30日)となる。「根性がすごい。馬の資質です。G1だからというのは気にしていないけど、いい状態で送り出せるように頑張ります」。新進気鋭のトレーナーは自然体で大舞台に挑む。
提供:デイリースポーツ