4月に入り、美浦トレセンでは2歳馬の緑ゼッケンの数が日を追うごとに多くなっている。
皐月賞が終わったばかりで、これからまだまだG1が続くだけに、2歳馬の取材モードには入っていないが、気になる馬を発見した。
その名は
アスパルディーコ(牝、
父ブラックタイド)。母は10年に牝馬3冠を達成した
アパパネで、昨年の
秋華賞馬
アカイトリノムスメの異父妹である。ただ、楽しみな血統ではあるものの、気になった点はそこではない。注目は厩舎。
母アパパネの主戦を務め、今年3月に開業したばかりの
蛯名正義厩舎に入厩したのだ。
蛯名正師は
アパパネの現役時、全19戦中18戦で手綱を取った。唯一騎乗しなかったのは12年阪神牝馬Sだが、その時は骨折で休養していた。真のパートナーであり、本当の意味で
アパパネのことを理解していた一人。そんな師が
アパパネの子を管理する。
蛯名正厩舎の津曲助手は「牧場での評価は高く、血統も素晴らしいです。動きは素軽くて、高い素質を感じますね」と評価する。
アパパネは牝馬にしてはパワフルな馬体で、力強い走りをしていた。初子から
モクレレ、
ジナンボー、
ラインベックと牡馬が続き、どの馬も母とタイプが似てがっちりとした体形。ただ、初めての牝馬となった
アカイトリノムスメは母とは違ってしなやかなタイプだ。個人的に
アパパネの子どもは、牝馬の方が走ると思っていただけに楽しみは大きい。
騎手から調教師、そして競走馬から繁殖牝馬とそれぞれ違う立場になったが、
アスパルディーコを通じて再び交わることになった、師と
アパパネのドラマ第2章。記者という職業上、劇的な展開を期待してしまう。(デイリースポーツ・小林正明)
提供:デイリースポーツ