破竹の4連勝でGI取りに王手をかけた
テーオーロイヤル。
天皇賞・春(5月1日=阪神芝外→内3200メートル)を勝てば岡田調教師、厩舎所属の菱田騎手とも初の
ビッグタイトルとなるだけに、陣営は特別な思いを胸に大一番に挑む。
「厩舎一丸となって頑張ります」
こう話すのは担当の栗原助手。菱田騎手とはほぼ同時期に競馬学校に通っていた旧知の間柄だ。
「競馬学校から厩舎も偶然同じで。普段から頑張ってくれてますね。菱田が乗って自厩舎で重賞を勝ったのはこの馬が初めてでした。そのうえで今度はGIの舞台に一緒に立てるなんて…。頑張りたいですよね」
そんな栗原助手には忘れられない原体験がある。それは2011年の
ドバイWCだ。東日本大震災直後に
ヴィクトワールピサが見せた渾身の走りは今でも脳裏に焼き付いているという。
「感動しました。ミルコ(デムーロ)が国旗を広げましたよね、勝った時。競馬って、こんなに人を魅了できるんだ、元気を与えてくれるんだって。あの光景を見て、いずれ自分もっていうふうに思ったんです」
あれから11年。
テーオーロイヤルとともに、その思いは花を咲かせようとしている。
「そうなってくれたらうれしいです。だからこそ、あくまで自然体で。僕は普段通りを貫き通したいですね」という栗原助手の気持ちに応えるように、馬も上昇急を告げている。
「状態に不安は何もありません。たぶん今までで一番いい。体に実が入って、乗っていても幅が出たと感じます。毛ヅヤも今までにないくらい。こんなに
ピカピカになったことはないですね」と内面から湧き上がってくる体調の良さに、確かな手応えを感じ取っている。
本番に向けて“新兵器”の効果も確認済みだ。イレ込むほどではないものの、パドックで少し気負うことがあるため、その対策として前走の
ダイヤモンドSでは口元につける網目状の馬具「リップネット」を着用した。
「普段からちょっとかみ癖があるので、パドックでもかんで遊んでくれて
リラックスにつながればな、と思って初めてつけてみたんです。気を紛らわせる感じで。実際、効果は少しあったかなと思うので今回もつける予定です」と感触は上々だ。
「この馬のすごいのは心肺機能。追い切りでも、レースでも、上がりで全然ハーハー言わない。息が乱れないんです」
“生粋のステイヤー”
テーオーロイヤルが、関係者、そしてファンの思いを力に変えて、今の日本に元気を届けてくれる走りを見せてくれるに違いない。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ