「NHKマイルC・G1」(8日、東京)
師弟の固い絆が3度目のG1タイトルを呼び寄せた。4番人気の
ダノンスコーピオンが大外8枠18番枠も克服。直線で鋭く伸びると、ゴール前で猛追してきた
マテンロウオリオンを首差退け、3歳マイル王に輝いた。2着は3番人気の
マテンロウオリオン、さらに首差の3着に最低18番人気の
カワキタレブリーが入り、3連単は150万超えの波乱になった。
緑まばゆい同じ府中のターフに、本来の姿を取り戻した
ダノンスコーピオンが躍動した。大外18番枠も問題なし。「返し馬からいい状態を確認できたし、自信を持って勝ちに行く競馬を組み立てられた」と川田。発馬を決めると中団の外へ。5、6番手で直線を迎え、ラスト200メートル手前で先頭に立つ。外から猛追してきた
マテンロウオリオンに対し、力強いアクションで相棒を鼓舞。執念とも思えるゴール前。最後は首差で難敵を退けた。
ウイニングランではスタンドのファンに何度も頭を下げ、感謝の心を送った。「あまりに苦しい状況で
共同通信杯(7着)を使わざるを得なかった。何とか立て直して、前走である程度の走りができた。そこから間隔は短かったが、よく辛抱してくれた。久しぶりに気持ちのいい時間を過ごすことができました」と笑みがこぼれた。
新馬戦から連勝したが、
朝日杯FSは3着。「デビュー戦を勝った時から、僕の中ではここが目標。それだけポテンシャルを感じた馬。記者会見で先生が“僕と大きなところを獲りたい”とおっしゃってくれていたので、改めてG1タイトルを届けたいと思った」。20年
ホープフルS(
ダノンザキッド)、21年
高松宮記念(
ダノンスマッシュ)に続く3つ目の師弟での栄冠。1カ月早い“父の日”のプレゼントになった。
自らが国内外G1・6勝馬に育てた
ロードカナロア産駒での3度目のG1制覇。しかも、この日は
新潟大賞典でも同産駒
レッドガランで重賞Vとまさに“安田隆祭り”だ。師は「最高にうれしい。大外枠もジョッキーがうまくリカバリーしてくれた。もう最高」と、弟子と愛馬をたたえた。
今後は「状態を見てから」と明言はしなかったが、「カナロア産駒で100勝(8日現在83勝)するのが目標なんです」と意気盛ん。定年まで残り約1年9カ月。頼れる弟子と、伸び行く3歳マイル王とともに今後も勝ち星を重ねていく。
提供:デイリースポーツ