距離適性を測る指標は血統、走法など様々。例えば馬体であれば「胴長は距離が延びていい」とされている。胴が長ければその分、一完歩の幅も延びるわけだから、理にかなった考えだと記者も思う。ただ、競馬は生き物が相手。目に見える物差しだけでは測れないのが難しいところであり、面白さでもあるのでは。
目に見えにくい部分で距離適性を裏付けることができれば、思わぬ穴馬を見つけることも。そういう意味では、今年の
オークス(22日=東京芝2400メートル)で
ピンハイに注目して損はないかもしれない。
「この馬のストロングポイントは気持ちの強さ。決して折れることなく、最後まで一生懸命頑張ってくれるところだと思っています」
ピンハイをこう評するのはデビュー以来、コンビを組み続けている高倉騎手だ。400キロそこそこの小さな体に秘められた
ビッグハート――。それを感じた印象的なエピソードとして、主戦は昨年10月の新馬戦(1着)を挙げてくれた。
「競馬での間の割り方ですよね。狭いところに自分からグイグイと入っていってくれたので“大した根性をしてるな”と。そういったところはしっかり維持してくれていますし、可能性を秘めた馬だと思っています」
その可能性の一端を見せたレースが
チューリップ賞だろう。当時は5か月の休み明け、しかもキャリア1戦での重賞挑戦。常識的には大敗しておかしくない条件の中、強敵
ナミュール、
サークルオブライフの間に割って入って堂々2着を確保したのだから、やはり並大抵の馬ではない。
「現状でどこまで力を出し切れるのかなという楽しみはありましたけど、こっちの想像以上に走り切ってくれました」
13番人気の低評価を覆した好走劇は、
ピンハイの類いまれな気持ちの強さがあってこそだ。
そして今回、最大のポイントとなる2400メートル攻略についても「
桜花賞にしてもスムーズに折り合っていたので、そのイメージで
オークスに向かえれば。距離自体は走り切ってみないと分からないけど、そこは馬の可能性を信じてあげるしかないですから」。その
桜花賞は5着に敗れたといっても、勝ち馬
スターズオンアースからわずか0秒1差となれば…。
「直線まではすごいスムーズで、これならという感触はありました。直線半ばくらいで徐々に進路がなくなっていって、最後は申し訳ない競馬(外側に斜行)になってしまったけど…。
オークスではこの馬の能力を出し切りたいですね」
頼もしいパートナーとともに初のGI制覇を目指す高倉騎手の手綱さばきに注目してほしい。
(西谷哲生)
東京スポーツ