トラックマンの朝は早い。厩舎の活動
サイクルに合わせて行動するわけだから当然である。日が昇る前に自宅を出て競馬場へ向かうのが常なのだが、1、2週間前までは、いざ出勤しようと車に乗り込むと、フロントガラスが
モザイクをかけたように凍りついていて、肝を冷やすということがよくあった。ようやく
シームレスな出勤が叶うようになったことに、季節の移ろいを感じている。
さて、今週はそんな春の訪れを彩る牝馬重賞、
ヒダカソウカップである。
昨年は先行争いの激化によって差し・追い込み勢がなだれ込み、3連単は30万を超える波乱となった。その展開を先行して押し切らんとしたのが
ネーロルチェンテであり、これには酌量の余地がある。今年もス
プリンター色の強い逃げ馬はいるが、
ネーロルチェンテ自身、歳を重ねて自在な立ち回りを身につけており、徹底先行策にこだわる必要はない。自身の力を出し切る運びをすれば、同じ轍は踏まないだろう。今年こそ人気に応えられるはずと筆者は判断した。
バブルガムダンサーは昨年10着だったが、1番枠で揉まれ込んで戦意喪失という格好であり、これも不問にできる結果だ。昨季それ以降は休養が長引き、本来の走りを取り戻せなかったが、今季初戦Vの内容から、完全復調が見て取れる。外枠を引き当てた今年は巻き返しが可能だ。
展開がもつれた場合、浮上してくるのは
サイファリスのようなタイプだろう。本質的には外回り向きだが、昨年に近いような流れなら一発の可能性がある。先手を取るであろう
スティールティアラ、転入初戦だが門別の内回りは合いそうな
クーファアチャラ、復調途上でも実績は上位の
ディアリッキーなど相手候補は難解だ。
最後に、馬場傾向について少し触れておく。今季は稀に見るタフな馬場状態でスタートしたが、砂厚調整によって第3回前半開催(5月11日〜)から平均的なタイムが出るように変化した。重賞に限らず、予想をする際はその点を考慮されたい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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