日本ダービーで1番人気に支持された
ダノンベルーガは、最後までギアが入らずにまさかの4着。さらには他のレースに出走した有力5頭もことごとく勝利を挙げられず、堀厩舎にとってはまさにどん底のダービーデーに。関東を代表する敏腕厩舎がこのまま春競馬を終えられるわけがない。今週の大一番・
安田記念(6月5日、東京芝1600メートル)には厩舎の看板を務めるGIホース2頭を送り込み、即座の逆襲を狙っている。
まずは
フェブラリーSで連覇を達成した
カフェファラオだ。見た目の快勝ぶりもさることながら1分33秒8の走破時計も驚異的。まるで芝並み。そうであるからこその
安田記念参戦なのだろう。
過去の芝参戦歴は昨夏の
函館記念(9着)1度だけ。当時は不慣れな競馬場での調整、適性外の距離、そして58.5キロの酷量と致し方ない面もあった。
フェブラリーS3着→
ヴィクトリアマイル1着の「新・二刀流」
ソダシの軌跡からも
カフェファラオの劇的Vの可能性は決して低くはあるまい。
「2週前はスピードに乗るのにモタモタしていたが、1週前は3〜4角のリズムが非常に良く、直線ではフルスピードに入れました。単走でも主体性を持って走れるようになったと感じています。
函館記念の内容から芝はこなせそうですし、この舞台の適性もあるでしょう。1週前追い後で526キロ。毛ヅヤ、馬体の張りが良く、心身がまとまったいい状態です」と堀調教師からは最上級に近いコメントが。
パワーに関してはメンバー
トップレベル。週末に天気が崩れれば、追い風となるのは言うまでもない。
一方の
サリオスといえば、
朝日杯FSを勝ち、
皐月賞&ダービーではともに
コントレイルの2着。さらに
毎日王冠で歴戦の古馬をなで斬ってみせた当時は現役最強の座も見えていた。そこからがイバラの道で勝ち星から見放され続けているが、2走前の
香港マイルでは3着に善戦したように、決して大きな戦力ダウンは認められない。
「1週前追い切り後にレーンから“反応やフットワークはもちろん、気を抜かずに走れていたようにメンタル面も良かった”と言ってもらいました。徐々に心肺機能が整ってきたし、レースできちんと能力を出せるよう仕上げていきたい」と指揮官は腕をぶす。
振り返れば、ウイークポイントの右トモが万全とは言い難い時期もあったし、レースでは再三にわたり不利を受けるなど、運から見放された面も。しかし、クラシックで連続2着に導き、
香港マイルでも復活の足掛かりを築いた頼れる相棒レーンが騎乗するとなれば…。前走の
高松宮記念での15着敗退から人気急落は確定的。配当的妙味は
カフェファラオ以上かも。
いずれにせよ、今週は“復権”へ牙を研ぐ堀厩舎の2頭に注目しない手はないと思っている。
(美浦の堀番野郎・虎石晃)
東京スポーツ