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安田記念・G1」(5日、東京)
17着までが1秒差以内という大激戦となった古馬マイル頂上決戦。制したのは4番人気の
ソングライン。直線外から豪快に伸び、4度目の挑戦で悲願のG1初制覇。管理する
林徹調教師(43)=美浦=にとっても、開業5年目でうれしいG1初Vとなった。2着に
シュネルマイスター、3着には
サリオスが続き、1番人気の
イルーシヴパンサーは8着に沈んだ。
横一線となったゴール前の大激戦。そこから真っ先に抜け出したのは4番人気の
ソングラインだった。エスコートしたのは池添。幾度の惜敗を味わった人馬が、他のどのコンビにも負けない強い絆で栄冠を勝ち取った。
5着に敗れ、悔しい思いをした前走のヴィクトリアM。その反省を今回に生かした。道中は中団外め。「ポジションは前回でポカをしているので、しっかり取りたいと。この馬のリズムを大事に、
サリオスの後ろにつけました」。手応えは抜群。あとは末脚を爆発させるだけだった。
勝負の直線を迎え、迷わず進路を大外へ。「この馬の力を信じていました。サウジでの競馬を経験して強くなりましたね。ステッキを送ってから反応して、もう一段ギアが上がりました」。華麗に、そして力強くVロードを駆け抜けた。
待望のG1初制覇となった林師。東大出身者として史上初の偉業は、宿敵に雪辱を果たすうれしい勝利となった。21年のNHKマイルC。直線半ばで抜け出すも、ゴール寸前で
シュネルマイスターにかわされ、鼻差2着に惜敗。指揮官は当時の残像がよみがえったのか「半分(レースを)見ているようで、見ていないようで…。直視できない感じでした」と苦笑いを浮かべた。
ただ、今回は中2週でも攻めの調教を積んできた自負がある。「挑戦者の立場で、もう一段階踏み込んで攻めた調教をこなしてきました。ずいぶん精神的に成長しましたし、集中して走れるようになってきました」。期待に応えてくれた愛馬を頼もしく思い、あの時とは逆の結果に、ホッと胸をなで下ろした。
この勝利でB
Cマイル・G1(11月5日・米キーンランド)の優先出走権を獲得。女王
グランアレグリアが引退して半年-。同じ勝負服の新
ヒロインが、頼れる鞍上とともに新たな伝説を刻んでいく。
提供:デイリースポーツ