「
マーメイドS・G3」(19日、阪神)
21年5月の大ケガから約1年1カ月ぶりにカム
バックした
北村友一騎手(35)=栗東・フリー。復帰週となった先週の中京競馬は11鞍に騎乗して2着が最高だったが、久々に勝負服に袖を通して、得るものも大きかったようだ。今週は
クラヴェルとのコンビで
マーメイドSに挑戦。待望の復活Vへ力が入る。
11日の中京4R。パドックに姿を見せた北村友に、復帰を待ちわびた多くのファンから自然と拍手が沸き起こった。その思いは当然のように伝わった。北村友がストレートに思いを語る。「“やっとここに帰ってこられたんだな”と実感しました。でも、だからといって高揚感はありませんでした。正直に言えば、そこまでの余裕はなかったです」。
復帰戦では納得のいく騎乗はできなかった。後方のまま、見せ場もなく11着に敗退。「心のゆとりがないと視野が狭くなるし、選択肢がすごく減っていることに気付きました。昔から“馬7、人3”と言われていますが、ジョッキーが占める割合の多さを実感しましたね。“馬5、人5”ぐらいの感じがしました」と振り返る。
流れの中でレースがつくられていく。休養期間中に見えなかった部分が、実戦を通して少しずつよみがえってきた。「パドックや返し馬など、お客さんの見えない部分でジョッキーの役割の比率が大きいと感じました」。
それは調教を含めてのもの。復帰2週目には、重賞の
マーメイドSで
クラヴェルの騎乗オ
ファーが届いた。最終リハは栗東CWで3頭併せ。感触を確かめたが「トレセンで乗り始めてから一番しんどい追い切りになりました。うまくなだめられないまま終えてしまって…」と渋い表情を浮かべた。
それでも気持ちは前向きだ。今週こそ、ファンに勝利の二文字を届けたい。「修正していくような余裕は正直ないと思う。1鞍1鞍が勝負と思って、期待には結果で応えなければいけないと思っています」。復活Vへ、戻ってきた勝負師の目がキラリと光った。
提供:デイリースポーツ