過去の6月、7月開催の阪神芝1800mの新馬戦を勝った馬には、後の重賞勝ち馬がズラリ。古くは2009年
日本ダービーを制した
ロジユニヴァース(
父ネオユニヴァース)や2011年
宝塚記念を制した
アーネストリー(
父グラスワンダー)といったGIホース。
近年だと、2017年
朝日杯FSを制した
ダノンプレミアム(
父ディープインパクト)や2020年
ホープフルSを制した
ダノンザキッド(父
ジャスタウェイ)。今も昔もGIホースを輩出する「阪神芝1800m」だが、今年もそんな将来性を期待できる馬がいるような気がする。
【6月25日(土) 阪神芝1400m】
◆
オリオンネビュラ(牡、父
イスラボニータ、
母オリヒメ、栗東・
橋口慎介厩舎)
おじにダートで3勝を挙げた
エイシンパライソ(父
Zensational)がいる血統。本馬は4月27日にゲート試験を合格した後、一旦放牧に出されており、今回のデビューに向けて、5月下旬に栗東へ帰厩。
6月1日の坂路では4F52.7秒をマークし、スピードがあるところを見せた。6月15日のCWではレースで騎乗予定の
松山弘平騎手が跨り、新馬を追走して半馬身ほど遅れる内容。ただ、最後の直線は12.1秒、11.8秒と加速しており、決して脚色が悪かったわけではない。「フットワークが柔らかくて、気性も前向き。現時点では父の良いところを受け継いだイメージ」と
橋口慎介調教師の評価も高く、初戦から注目したい。
【6月25日(土) 函館芝1200m】
◆
イコサン(牡、父
ビッグアーサー、
母メイショウトモシビ、栗東・
長谷川浩大厩舎)
おばに芝で5勝を挙げた
メイショウオワラ(父
ディープブリランテ)がいる血統で、本馬は
ビッグアーサー産駒。筋肉質な馬体のつくりは、父譲りに思えるが、6月8日の芝馬場での併せ馬で見せた操縦性の良さは一本調子な印象もある他の父産駒とは少し違った面を見せたとも思える。
6月15日の坂路では新馬と併せて、追走したものの馬なりで同入。4F51.7秒はさすがの時計だが、2F24.6秒でラストが12.1秒というラップの踏み方が素晴らしい。坂路で抜群に動くといえば、厩舎の先輩に
ナムラクレア(父
ミッキーアイル)がいるだけに、初戦のパフォーマンス次第では今後が楽しみになるのは間違いない。
【6月26日(日) 阪神芝1800m】
◆
カルロヴェローチェ(牡、父
シルバーステート、
母スサーナトウショウ、栗東・
須貝尚介厩舎)
2020年セレクトセール当歳にて、2000万円で落札された
シルバーステート産駒。祖母に2006年
セントウルSなど、ス
プリント重賞で5勝を挙げた
シーイズトウショウ(
父サクラバクシンオー)がいる血統。
5月25日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩したばかりだったが、6月2日にはゲート試験を合格。その翌週、6月9日には坂路で4F50.9秒をマークして、一躍、注目されるの新馬として急上昇。6月15日、レースで騎乗予定の
C.ルメール騎手が跨ったCWでの併せ馬は時計こそ遅かったものの、
マーメイドSに出走した
ルビーカサブランカと互角以上に動く走りを見せており、スピードだけでなく、併せた時の精神的な強さも感じさせる内容だった。
全体的な調教量は決して多くないが、デビュー戦のパフォーマンス次第では今後が楽しみになりそうな1頭だ。
◆
ドゥラエレーデ(牡、父
ドゥラメンテ、
母マルケッサ、栗東・
池添学厩舎)
2021年セレクトセール1歳にて、1億円で落札された
ドゥラメンテ産駒。おじに2016年
菊花賞を制し、今年から初年度産駒が走り、種牡馬としても活躍が期待されている
サトノダイヤモンド(
父ディープインパクト)がいる血統。
6月8日のCWで単走ながら、6F81.1秒と速い時計をマークしていたが、一般の方が注目したのは6月15日のCWでの追い切りだろう。
マーメイドSに出走した
アイコンテーラーの調教映像で外から飛んでくるような走りを見せたのがこの馬。実際には、道中でこの馬と僚馬の併せがかなり先を走っていて、それを
アイコンテーラーが4コーナーで内から追い抜いている。最後の直線で本馬が速いラップを踏んだ分、差し切るような動きに見えたが、6F時計を見れば「とんでもない」動きというわけでもない。ただ、ゴール前の余裕あるフットワークは素晴らしく、素質ある1頭であることは間違いない。
なお、鞍上は
北村友一騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)