子供のころ、ドラマでスケバン刑事や花のあすか組! にハマり、鋭い目つきでキツメの言葉を発する女性を憧れのまなざしで見ていた。で、大人になって競走馬=
ウインマリリンがその記憶を呼び起こしてくれるとは…。栗毛をなびかせ、さっそうと走る姿はまさに子供時代の
ヒロイン。デビュー以後、ひいき目満載で応援してきた。
それゆえオープン入り後も評価は自然に甘めになり、近2走のGIでも大いに期待したのだが、ともに16着。大舞台の壁の高さを痛感した。今回の
宝塚記念(26日=阪神芝内2200メートル)も前2走と同じ阪神となれば、さすがにこれ以上の深追いは禁物と心に決めていた。
しかし、その心が揺らいでしまったのが先週水曜(15日)の1週前追い切り。美浦南ウッドは時計の出やすい馬場だったとはいえ、5ハロン64.7秒、ラスト1ハロン11.0秒の好時計をマーク。しかも馬なりで軽快に駆け抜けたのだから驚いた。デビューからさかのぼって調べても、これだけの数字をマークしたことは一度もない。
騎乗した松岡の手応えはどうだったのか。「単走でもいい時計だったし、前を行く組に追いつくぐらいでしたね。元々使って良くなる馬ですし、
トランポリンと一緒で助走が大事。
大阪杯を一度使ったことで動きは良くなっているし、一発狙えそうな雰囲気」と色気十分の口ぶり。翌木曜(16日)の投票所で会った手塚厩舎・矢嶋助手も「
マリリンかなり良くなってますよ」。
そこで前走との違いを尋ねると「今回は厩舎に帰ってきてから
バランスがとてもいいし、力強さがありますね。体を大きく見せて迫力も感じますね。“女番長”が戻ってきましたよ」。
記者が手塚厩舎の担当になる前から矢嶋助手は好調な時の男勝りで気が強い
マリリンを“女番長”と呼んでいたそうだが、ここ2戦では聞けなかった記者が大好きなフレーズを聞けたということは…
マリリンが絶好調に近いのは間違いない。
それでも近2走はともに今回と同じ阪神だったけに、輸送による消耗(マイナス4キロ→マイナス10キロ)はどうしても気になってしまう。その懸念を手塚調教師にぶつけると「ここ2走は輸送するごとに体が減っていたので、今回は1週前の日曜(19日)に栗東へ輸送する。牧場でもしっかり乗り込んで帰ってきたし、体も増えてふっくら見せて
大阪杯の時とは
シルエットが全然違う。1週前追いは時計も良かったけど、負荷もしっかりかかっていた。どこかでGIを取れる馬だと思っているけど、今回はそれぐらいの動きを見せている」。
栗東滞在が功を奏せば、男馬相手でも「おまんら許さんぜよ」とばかり栗毛をなびかせ激走してくれるはず。今回も女番長を“深追い”しようと思う。
(美浦のスケバン刑事世代野郎・松井中央)
東京スポーツ