2歳世代最初の重賞である
栄冠賞は、活躍馬の登竜門的レースである。特筆すべきは、着順に関わらず、出走することそれ自体が将来性を担保するということだ。実例は枚挙にいとまがないが、昨年で言えば、
シャルフジンや
リコーヴィクター、
バウチェイサーが好例である。素質馬が多く集まる早期の新馬戦を勝ち抜いた馬たちによるレースなのだから、これらの結果は必然だろう。
今年の中心的存在は、新馬戦、オープンと連勝中の牝馬
スティールグレイスである。その内容も優秀で、特に前走は、今回も出走する有力馬たちをいとも簡単に差し切った。多頭数の経験はないが、この時期の2歳馬とは思えない大人びたレースぶりから、心配は不要だろう。唯一、課題があるとすれば、陣営から馬体の重め残りに関して懸念が示されている点。それでも勝つようなら、秋の
エーデルワイス賞は当確級である。
毎年の個人的なスタンスとして、
栄冠賞では、この先さらに距離が延びて出世しそうな馬に本命を打ちたいと考えている。ス
プリンター的な先行タイプが揃って激流になるため、結果的に潜在的な中距離適性(=ラップの継続力)が問われるケースも多いというのがその理由のひとつだ。その視点で注目したのが
エアポートライナーである。1000mで新馬勝ちしたが、500kgを優に超える雄大な馬体とス
トライドを伸ばす走りから、本質的な適性はマイル以上ではないかと見ている。完成度が足りなければ仕方ないが、能力は間違いなく重賞級だ。
実績という観点では、
エイシンエイトにも僚馬
スティールグレイスと同等の評価が必要だ。こちらは2戦とも逃げ切りであり、違う形の競馬を強いられた場合の対応が課題となる。
ディオスメッセージは1700mの新馬戦を勝った豊富な体力が持ち味で、消耗戦なら出番がある。能検から異彩を放っていた
ポリゴンウェイヴ、初戦がハイレベルの
エイシンケプラーも上位の一角だ。例年のことだが、順序付けの非常に難しいレースである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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