「
宝塚記念・G1」(26日、阪神)
上半期のドリームレースを制したのは、史上最多得票でファン投票1位に輝いた、2番人気の
タイトルホルダー。ハイペースの流れを2番手から力強く抜け出し、
菊花賞、
天皇賞・春に続く3つ目のG1タイトルを獲得した。勝ち時計の2分9秒7はレース&コースレコード。殊勲の横山和は、祖父・富雄さん、父・典弘に続き、親子3代での
宝塚記念制覇となった。現役最強の走りを見せつけた人馬はこの秋、
凱旋門賞・G1(10月2日・仏パリロンシャン)を目指して歩みを進めていく。
圧巻のレコード。これぞ横綱相撲と言える文句なしの強さで、
タイトルホルダーが3度目の頂に立った。人馬一体となり、2着に2馬身差をつける完勝劇でゴールへ。スタンドへ向けて、左手を大きく広げた横山和は「たくさんの方々が応援してくれた。結果を残せたことをうれしく思います」と、ファン投票1位の期待に応えて安どの表情を浮かべた。
好発を決めた時点で勝負あった。逃げ宣言の
パンサラッサも、王者の気迫にたじろいだに違いない。「スタートはいつも上手。しっかり出して行って“それでも来るなら来い!”というつもりで行きました」。ピタリと折り合いをつけ、4角で他の先行勢とは手応えがまるで違った。「僕がひるまないように、馬の力を信じて。リズム良く直線に向けば、いつも頑張ってくれる」。相棒への絶対的な信頼感がラ
イバルを圧倒していた。
下見所から返し馬にかけて、やや
テンションが高ぶった。「いつもあんなもの」と鞍上はいなしたが、若きコンビに助け船を出したのが父・典弘だった。
キングオブコージが側に寄り添うと、落ち着きを取り戻してポケットへ。レース後、栗田師は「誘導してくれて感謝の気持ちです」と一礼し、祖父・富雄氏を含む、親子3代での
宝塚記念制覇の喜びを分かち合った。
タイトルホルダーの父
ドゥラメンテは16年に2着に敗れ、入線後に下馬。左前肢ハ行により渡仏を断念するとともに、現役引退を余儀なくされた。無念の思いは子どもたちに託されたが、昨年8月に9歳の若さで急逝。万事休す。夢はついえたかに思われたが、孝行息子が仁川で父のリベンジを果たした。
まだ見ぬ景色を追い求め、つながれたバトンは世界へ-。レース後、指揮官は「オーナーからは“勝ったら
凱旋門賞へ”と言われていました。和生騎手と行く予定です。まずはゆっくりと休ませて、疲れを取って。直行になると思います」と、堂々と秋のフランス行きを宣言した。
日本の悲願とも言える夢舞台。大役を任された和生は、さらなる精進を誓う。「今までたくさんの名馬たちが挑戦してきた。甘くないと思いますが、
タイトルホルダーと一緒に僕も成長していけるように頑張ります」。戦う度に深め合ってきた信頼の絆。世界の強豪に挑む、若き人馬の真っ向勝負が楽しみだ。
提供:デイリースポーツ