7月9日にイギリスのニューマーケット競馬場で行われる
ジュライカップ(3歳上・英G1・芝1200m)。夏に行われる英ス
プリントG1の第3戦で、6月に行われる
キングズスタンドS、
プラチナジュビリーS(旧ダイヤモンドジュビリーS)に出走したス
プリンターが例年集う。1876年に創設された歴史あるこのG1に、日本から
キングエルメス(牡3、栗東・
矢作芳人厩舎)が参戦予定だ。
これまでの歴代優勝馬には、史上4頭目の英クラシック三冠を達成し生涯16戦全勝の成績を残した
オーモンド(Ormonde)や、1948年から1950年にかけてイギリスのス
プリント路線を総なめにした歴史的ス
プリンター・アバーナント(
Abernant)、種牡馬として大成功を収めた
グリーンデザート(
Green Desert)など、錚々たる顔ぶれが名を連ねている。その中に、今から22年前、日本から参戦した
アグネスワールドの名前が刻まれている。
アグネスワールドは
父Danzig、
母Mysteries、母の
父Seattle Slew。半兄に1995年の
スプリンターズS(GI)覇者
ヒシアケボノがいる米国産馬で、1997年6月に競走馬デビューを果たした。続いて函館3歳Sに出走し、無傷2連勝で重賞初制覇。勝ち時計は当時のレコードタイムだった。朝日杯3歳Sでは後に
グランプリ連覇を果たす
グラスワンダーの4着となるが、返す刀で全日本
3歳優駿に駒を進め、ダート初挑戦で重賞2勝目を飾った。その後、翌1998年の
シンザン記念で2着に好走するが、骨折により1年間の長期休養を余儀なくされた。
1999年に復帰し、
高松宮記念、
安田記念と古馬GIにも挑戦。同年7月の
北九州短距離Sを逃げ切り、勝ちタイム1分6秒5を計時。以降22年間破られることのない日本レコードを叩き出した。同年10月、フランスに遠征を敢行。ロンシャン競馬場で行われたアベイ・ド・ロンシャン賞を制し、G1初勝利を飾った。
翌2000年6月、イギリス遠征を敢行。
キングズスタンドSで勝ち馬
ニュークリアディベイト(
Nuclear Debate)から0.2秒差の2着に好走すると、翌7月に
ジュライカップに挑戦し、日本調教馬として史上初となるイギリスでのG1制覇を果たした。以降、
ジュライカップには
シーキングザダイヤ、
キーンランドスワンが挑戦しているが、両馬とも12着と大敗しており、勝ち星は挙げられていない。
今回出走する
キングエルメスには、22年ぶりとなる「日本調教馬による制覇」がかかる。また、
アグネスワールドは栗東・
森秀行厩舎に所属していた日本調教馬だが、米国で生まれ日本に輸入された外国産馬だったため、
キングエルメスが勝利すれば、史上初の「日本産馬による
ジュライカップ制覇」の快挙達成となる。
今年は
コモンウェルスC(英G1)を制した
パーフェクトパワー(
Perfect Power)、
プラチナジュビリー(英G1)覇者ネイヴァルクラウン(
Naval Crown)など16頭が出走予定。要注目である。