2歳重賞の原点である
栄冠賞が終わり、ここから重賞戦線は距離や性別で分岐していくことになる。まずはその
栄冠賞を軽く振り返っておきたい。最低人気の
コルドゥアンが、期間限定騎乗初日だった兵庫の
石堂響騎手を背に、シンガリ一気の追い込みで勝利したという、あまりに情報量の多い結果だった。
改めて結果を分析すると、8着までが勝ち馬から0秒4差に凝縮しており、如何に紙一重の戦いだったかが分かる。展開も激しく、スムーズに力を出し切れた馬は半数いるかどうかだ。幾度も書いているが、
栄冠賞という重賞は、出走できること自体に大きな価値がある出世レースである。今年もここから複数の重賞ホースが生まれるだろう。
さて、このフルールカップは、
エーデルワイス賞へと続く牝馬短距離路線の起点である。最有力は、
栄冠賞組からただ一頭、参戦してきた
リコシェだろう。
栄冠賞では後手を踏み、大外を回らざるを得ないロスの多い競馬になったが、直線だけで5着に追い上げた。この経験値だけで評価には事足りる。1000mにも不安はなく、中心視するのが妥当である。
もし逆転の一発があるとすればという穿った考えで、筆者は距離短縮で激変した
サワヤカローズに注目した。この時期の2歳馬で、タフな良馬場の門別1200mを1分14秒台で走れるのは、重賞級の能力がある証拠だ。速い馬が揃う1000m戦への対応は未知数だが、リスクを上回る魅力がある。
他のメンバーも実に多彩。
エイシンレゲンダは4戦のキャリアの中で、着実に
ステップアップしている。メンバーレベルが上がった前走のオープン戦でもスピード負けしなかったのは、地力強化の賜物だろう。馬場が渋れば、
オンネマトカに一変の可能性がある。走りは明らかに軽い馬場向きで、前走だけで評価は落とせない。この重賞2連覇中の角川厩舎が送り出す
レモンアイカー、時計勝負ならもってこいの
アサクサロックなど、馬券を考える際は手広く押さえるべきである。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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