「
函館記念・G3」(17日、函館)
史上7人目のJRA全10場重賞制覇が懸かる橋田満調教師(69)=栗東=が、函館伝統の一戦に
スカーフェイスを送り出す。98年
宝塚記念を勝った希代の快速馬
サイレンススズカ、99年ダービーを制した
アドマイヤベガなど、多くの活躍馬を輩出した名トレーナーも23年2月いっぱいで定年。記録達成のラストチャンスに、スタッフ一丸となって突き進む。
橋田師はここまでJRA重賞63勝(うちG1・11勝)を挙げ、さらに世界中を転戦した
ディアドラで20年の英G1・ナッソーSも制覇した。そんな名トレーナーも85年に開業してから、なぜか函館の重賞だけは縁がなかった。函館では常設重賞が現行で
函館記念、
函館スプリントS、
函館2歳Sの3つしかない。さらに橋田厩舎にとっては、オープン馬を夏の北海道シリーズにあまり遠征させてこなかったという事情もあり、重賞タイトルに手が届かなかった。
「函館には主に下級条件馬を連れてきて使ってきたから。
函館2歳Sには早くから使っている馬を持ってきていないし、
函館スプリントSもス
プリンターがそんなにいなかったからね」と説明する。その言葉通り、過去に
函館2歳Sには5頭、
函館スプリントSには3頭(他に函館で施行された13年キーンランドCに1頭)しか出走させていない。
18年
クイーンS(札幌)を
ディアドラで制し、全10場重賞V達成にリーチをかけてから4年。「まあ、意識せず、変わらずやりますよ」と指揮官は自然体だが、「でも、記録のことを言っていただけるので、皆さんのお気持ちには応えたい」と静かに闘志を燃やしている。「橋田先生の記録達成が懸かっているので、血眼で勝ちに行きたいと思います」と竹之下助手も強い意気込みを示す。
函館記念での最高成績は02年の
トーワトレジャーの3着。着実に力を付けてきた
スカーフェイスが、厩舎一丸の思いを背負って一世一代の走りを見せる。
提供:デイリースポーツ