函館開催のラスト2週間は現地に滞在していたが、開幕週のころに比べると各厩舎とも馬、スタッフが入れ替わっていたが、新しい出会いがたくさんあって、収穫が多かった。その中で最も印象に残ったのが、入厩して間もない藤原厩舎の新馬
アスクメークシェア。初めてゼッケンを見た時、その馬体に目を奪われて、すぐ名前と血統を確認。すると3連勝で小倉2歳S、
京王杯2歳Sを制した
ファンタジストの全弟だとわかって一人で大興奮。
兄の3連勝時は馬券でお世話になることはなかったが、3歳秋の
セントウルSで7番人気ながら2着した際は、勝ち馬
タワーオブロンドンとの一点勝負で大的中できたことを今でも鮮明に覚えている。残念ながらその2か月半後、
京阪杯のレース中に急性心不全で非業の死を遂げたが、その全弟に目を奪われたのも何かの縁。函館取材最終日に厩舎に行くと、なんとゲート試験合格直後だった。
田中博助手は「乗り味がすごくいいね。跳びが大きくて背中もしっかり使えるから、カナロアの子でも1800メートルぐらいが良さそう」と思っていた以上に好感触。続けて「これから速いところをやっていく中で気持ちの面で危うい面が出なければ、札幌で使うこともできそうですよ」と語っていた。
今のところ放牧には出ず、函館競馬場で順調にメニューを消化。
ストレイトガールや
ウリウリなどを担当した腕利きの田中博助手に導かれ、札幌デビューから、兄
ファンタジストのぶんまで長く活躍してほしい。
その札幌では今週
クイーンS(31日、札幌芝1800メートル)が行われるが、当欄で何度も取り上げ、しつこいと言われるのを覚悟の上でまた
スライリーを狙う。年初でも触れた通り、相沢調教師は「今年、どこかで重賞を勝てると思っている」と語っていて、
中山牝馬Sでも僅差の4着に好走していてここでも見劣ることはない。
前走のメイSにしても勝負どころで一気に上がっていく脚は見どころ十分だったが、相沢師は「結果的にはひっかかってしまったし、あの形では止まってしまう。とにかく力はある馬だから、あとは折り合いひとつなんだ。今後のことを考えれば、何としても賞金を加算しておきたい。今回は丹内に乗り替わるけど、最終追いで確かめてもらう予定だし、新コンビでいい面が出てほしいね」。
デビューから乗り続けた弟子の石川からの乗り替わりとなるが、相沢師のレースにかける意気込みに応えてくれることを信じて応援したい。
(美浦の追跡者・松井中央)
東京スポーツ