カフジオクタゴンが前走の
鷹取特別で3馬身差快勝を決めた後、出走へ並々ならぬ意欲を見せていたレースが
ジャパンダートダービーだった。言わずと知れた3歳馬によるダート界の頂点を争うレース。登録時点で補欠馬扱いながら、正式に出走馬が確定するギリギリまで、繰り上がり出走の可能性に懸けて調整を続けていた。
これまで重賞への出走経験すらなく、3勝クラスに在籍する身。手堅く自己条件に出走すれば、
アローワンスによる斤量面の有利さで古馬相手でも上位争いの期待は十分に持てたはず。それでも自己条件出走はかたくなに選択肢には入れず、JDD出走への道が断たれた後は短期放牧へと出され、目標をやはり3歳馬同士の重賞である、この
レパードSへと切り替えた。この執拗なこだわりの理由は何なのか?
海外の大舞台から、地方交流の未勝利戦まで常に広い視野をもち、適材適所に狙ったレースを取りにいくのが、いわば矢作厩舎の流儀。これまで数多くの勝利を積み重ねてきた経験値から導き出された
カフジオクタゴンの現在の立ち位置が「重賞制覇の可能性大いにあり」との判断に至ったことが推察される。
レパードS(7日、新潟ダート1800メートル)の騎乗を託されたホー騎手といえば、クイーンエリザベスII世Cで
ラヴズオンリーユーを勝利に導いた香港の名手。
カフジオクタゴンの最終追い切りに騎乗して「力強い動きだった」と手応えをつかんでいた。そして厩舎サイドも「もともと歩様に硬さはあるんですが、キャンターに行くと、いい背中をしていると感じるのがこの馬の特徴。ウチの厩舎には多くのオープン馬がいますが、このパターンにハマる馬はだいたい走る。前走は流れに乗った理想的な勝ち方だったと思いますし、ああいう競馬ができれば重賞でも通用するはずです」(安藤助手)と重賞級の評価を隠すことはない。
この重賞初参戦は決して無謀な格上挑戦ではなく、十分に勝算ありとの判断に基づくものであることをこの場を借りて告げておく。
(栗東のバーン野郎・石川吉行)
東京スポーツ