今週の目玉は何といっても
札幌記念だが、こちら小倉も熱き戦いが続いている。7月開催(3回小倉)で勝利のなかった関東馬が、先週は2勝2着1回。出走頭数を考えれば大活躍と呼べる結果で、この3頭の人気は3、3、7番人気とおいしい馬券になった。
デビューから2走続けて3着、そして先週の
フェニックス賞を制した
ミカッテヨンデイイ(牝2・堀内)の井波助手は、前開催の小倉から通しで滞在するいわば“関東のキーマン”。400キロをわずかに超える小柄な牝馬ながら、最終週の小倉2歳Sへ駒を進める。
火曜(16日)に厩舎を訪れると馬房のドアは閉め切ったまま。空振りかと思いきや、「エアコンがついているんで閉め切ってます。決して中で仕事をサボっているワケじゃないですよ(笑い)」とソーシャルディスタンスで馬房へ。ドアを開けた瞬間、誰でも分かるこの涼しさはかつて小倉競馬場のどの馬房でも体験したことがない。サラブレッドたちも「今年はいいなあ」と声に出して喜びたいくらいだろう。この体感を伝えきれない語彙力のなさをお許しください。
滞在馬が好走する手がかりを得たところで、
北九州記念(21日、小倉芝1200メートル)に参戦するべく13日に現地入りした
チェアリングソング(牡5・青木)のもとへ。こちらも馬房のドアはしっかりと密閉。作業を終えた田子助手が「こっちは涼しいですよ」と中へ案内してくれた。
「福島にもエアコンはあったけど滞在となるとやはり違いますね。輸送でちょっと体重は落ちたけどこっちに着いてからはカイバをよく食べてくれています。運動して体を洗って馬房に入れたら、すぐ汗も引きます。もちろん僕も」(田子助手)と滞在でのエアコン
パワーを実感しているという。
取材する立場から言うと、基本的に小倉滞在の関東馬はD棟(スタンド横にある一番近い場所)が通例だが、
チェアリングソングと
オルダージュ(別府S)の2頭はA棟の一番奥(D棟から7倍くらい遠い距離)に在厩している。
「静かな場所で今はウチしかいないので快適に過ごせています。
チェアリングソングはすぐ環境に慣れたし、普段の運動でもハミ掛かりがいいくらい。小回り向きの決め手があるので小倉も合うと思います」(田子助手)と手応えを感じている。
近走は中山→中京→函館→福島とコースを問わず速い上がりをマークし、そして今回の小倉でローカル場は全場制覇。絶好の環境下で最高の結果が出そうな予感はある。
(小倉の
ヘルスン・荒井敏彦)
東京スポーツ