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【地方競馬】「残りあと120m」独特のフレーズで盛り上げる佐賀競馬・中島アナ流の「うまてなし」

  • 2022年09月09日(金) 17時00分
 レースで主役となるのは馬と騎手ですが、そこにスポットライトを当てるのが実況アナウンサー。通常は、ゴールまでの残り距離を200m毎に示すハロン棒を頼りに実況することが多いですが、佐賀競馬場で場内実況を担当する中島英峰アナウンサーからは「ゴールまであと120m」という、どうやって測ったのか不思議に思うフレーズが飛び出し、ファンの間で盛り上がります。また、本馬場入場でのフレーズも特徴的な中島アナ。

 佐賀競馬では移転開設50周年を記念して「うまてなし」と題したおもてなしを行っていますが、中島アナの実況も実は「うまてなし」の一環なのでした。

(取材・構成:大恵陽子)

◆名物フレーズはファンからのリアクションがきっかけ◆

――中島アナウンサーと言えば、「ゴールまであと120m」など中途半端な距離を実況することが有名ですが、始めたきっかけは?

中島 競馬実況を始めて何年か経った頃、自分自身で頭打ちになっていると感じると同時に、お客さんを楽しませるために「人とは違って、面白いものを」と考える中で、たまたまポロっと「あと何m」と言ったらウケて、しばらく続けていました。感覚的にゴールまで何mくらいかは分かっていますし、「あと何m」と言っている間に競走馬は何十mも走っていますから、「喋っている間にその地点を通過していれば嘘じゃないよね、許してね」という気持ちです。

 でも、あまり続けても仕方ないので今はもう止めて、何か新しいことをやろうと試みています。その一環で、騎手の動きに注目して、「後ろを見た」という動作でも焦っているから見たのか、余裕を持って見たのかをニュアンスを含めながら喋ろうと思っています。

――重賞の本馬場入場のアナウンスでも騎手に着目したコメントをされていますね。また、出走馬の紹介コメントも聞いていて楽しいです。

中島 なるべく難しい言葉は使わないようにしています。出走馬の紹介では物語性を追求するか、面白さを追求するか、あるいは馬名の由来に絡めるかなど、なるべく同じくらいの字数で収まるよう、すごく時間をかけて作っています。
レース直前に出走馬がゲートになかなか入らない時はお客さんに向けて「我慢してね、もう少し待っててね」というニュアンスの言葉を言うようにしています。みんな苦労してがんばってゲートに入れようとしているところに、ヤジが飛んできたんじゃ報われないですからね。

――競馬実況としては少し異色の独自路線を歩みますが、どういったきっかけで競馬実況を始めたんですか?

中島 戦後すぐに親が作った会社の業務の一環で、30歳になってから広島県の福山競馬場(廃止)で実況をやり始めました。元々は同じ会社で営業の仕事をしていて、全国に出張して物を売っていたのですが、うんと年の離れた姉はアナウンスの業務をしていて、車にラッパを付けた宣伝車や、店頭に流すテープにアナウンスを吹き込んでいました。

 物心ついた時から家族がそういった仕事をしていたので、喋る仕事に抵抗はなかったのですが、いざ初めて見たら自分の頭の悪さや目の悪さを痛感する日々でした。3年くらい福山競馬で実況をして、佐賀競馬にやってきました。

――そんな中島アナにとっての「うまてなし」とは?

中島 みんながいいレースをするので、それをできるだけいい実況で表現したいです。成り行きは静かに、駆け引きは巧みに、攻防は強く、勝敗は熱く、を第一のテーマに、各レースやその日、その週の起承転結も加えたいと考えています。すべてはお客さんに楽しんでもらうために、それだけです。

* * * * * * *

 佐賀競馬場では今週11日、第1回鳥栖大賞が開催されます。今年、創設された3歳以上2000mの重賞で、地方全国交流の一戦。JRA時代はオープンクラスに在籍していたタイサイ(大井)やメイショウワザシ(大井)、この舞台が大得意なエイシンニシパ(兵庫)らが遠征予定。地元勢は重賞3勝のドゥラリュールを筆頭に挑みます。

netkeiba×佐賀競馬関係者ニュース

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