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【旭岳賞予想】王者不在の混沌とした重要な前哨戦

  • 2022年09月14日(水) 18時00分
 JRA札幌開催が幕を閉じ、北海道の空気は一段と秋めいてきた。門別競馬場も、早朝の調教時間帯は日を追うごとに冷え込みを増している。私もその時間に合わせて取材をしているが、今の時期は特に日中との寒暖差が大きいため、服装が難しい。薄着を選んで後悔する日には、厩舎を気ままに渡り歩くモフモフのネコたちに羨望の一瞥をくれることになる。

 季節の移ろいは、とりもなおさず、シーズンフィナーレの足音が近づいていることを意味している。旭岳賞は、11月の大一番、道営記念と同じ外回り2000mで行われるその重要な前哨戦である。王者不在の混沌とした戦況は春から変わらないが、ここに来てメンバーはかなり揃った印象だ。

 その中でも、南関東から再転入後2連勝中のサンビュートが中心的存在だろう。昨年はJRAから転入しての2連勝でこの重賞に臨み、クインズサターンとアタマ差の勝負を演じた。今年は勝って更に勢いをつけ、その王者も出てくるであろう道営記念でリベンジといきたいところである。

 リーディングトップの田中淳司厩舎からは3頭が参戦する。フローリンは転入初戦で赤レンガ記念を制し、JRAオープン馬の地力を示した。その前走がスローペースを好位から抜け出すスムーズな競馬だっただけに、もつれる展開での立ち回りが鍵になる。ルールソヴァール赤レンガ記念で4着だったが、先行勢優位の展開でやや脚を余した格好。流れ次第で逆転も可能だ。4月のコスモバルク記念を勝ったテーオーフォースは、それ以来の実戦というブランクがポイントだろう。

 前走で復活Vを挙げたリンノレジェンドも含めた実績馬たちの中で、唯一、今季まだ一度も完全燃焼の競馬ができていないのがチャイヤプーンだ。今季初戦はやや体が重く、ここ2戦は折り合いの難しさを露呈して、勝機を逃している。ライバルたちとの力関係をはっきりさせておくためにも、今回にかける思いは一入のはず。巻き返しに注目したい。

(文:競馬ブック・板垣祐介)

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