昨年の5回中京開催の3週目、新馬戦を勝ち上がった馬で現在、GIや重賞で活躍している馬がいないかと調べてみると、負けた組の中で見つけたのが
グランブリッジ(栗東・
新谷功一厩舎)。
デビュー戦は中京ダート1400mで11番人気の7着。全く注目されていなかったわけだが、距離を中距離に延ばしてから、6戦連続して3着以内を確保。
関東オークス、
ブリーダーズGCとダート交流重賞を連勝中。
先週もこの中京開催でデビューした馬は、といったことを書いたが、勝った馬だけでなく、負けた組の中にも今後のスターが隠れている可能性がある。
【9月24日(土) 中京芝1400m】
◆
スプル(牝、父
ミッキーアイル、
母ルナフェリーナ、栗東・
橋口慎介厩舎)
2022年
JRAブリーズアップセールにて、1900万円で落札された
ミッキーアイル産駒。母系には芝でもダートでもG1を勝ち、種牡馬としても活躍した
アグネスデジタル(
父Crafty Prospector)がいる血統。
本馬は8月24日のゲート試験合格後も栗東に在厩して追い切り。9月8日のCWでは6F82.1秒をマークし「すごくいい動きでしたね」と
橋口慎介調教師も高い評価。1週前追い切りにはレースでも騎乗予定の
C.ルメール騎手が跨り、6F80.6秒をマーク。
「ピッチ走法でスピードはあるけど、柔らかみのあるフットワークに素質の高さを感じます」と同師だが、追い切りでもこれだけの時計が出れば、当然初戦からということになってくる。
◆
プレリオン(牡、父
ミッキーアイル、
母レムミラス、栗東・
田中克典厩舎)
おじにダート2000m以上のオープン特別を2勝している
テルペリオン(父
フリオーソ)がいる血統。同厩舎の
ミッキーアイル産駒といえば、今年の
桜花賞5着、
オークス4着と春の3歳牝馬クラシック戦線を賑わせた。
田中克典調教師は「
ミッキーアイル産駒だけど、ゆったり走るタイプなので」と入厩当初は中距離路線でのデビューを検討していたが、追い切りを進めていく過程でまずはマイル前後でのデビューがベストと判断して、ここを視野に入れた調整に切り替えた。
9月15日のCWはレースでも騎乗予定の
団野大成騎手が跨って3頭併せ。全体時計は遅くなったが、ゴールへ向かってきれいな加速ラップは踏めており、スピードコントロールが上手な印象を受けた。
【9月25日(日) 中京芝2000m】
◆
マラマ(牝、
父Dubawi、
母アムールブリエ、栗東・
松永幹夫厩舎)
母は英字表記になっているが、同厩舎で管理され、ダート交流重賞で6勝を挙げた
アムールブリエ。その母は
天皇賞・秋を制した
ヘヴンリーロマンスなので、まさに厩舎にゆかりがある血統だ。
半姉
ルーチェット(父
キズナ)も同厩舎で管理されているが「タイプは違いますね」と
松永幹夫調教師。9月14日はCWでレースでも騎乗予定の
武豊騎手が跨って、古馬1勝クラスとの併せ馬。追走した分、遅れたといった形だったが、6Fは81.0秒。「追い切りごとに動きは良くなっていますね」と同師も評価。姉は中京ダート1800mで新馬勝ちを決めたが、妹はどうか。
◆
ダノンクロム(牡、
父ハーツクライ、
母セデュイールII、栗東・
音無秀孝厩舎)
2020年セレクトセール当歳にて、5200万円で落札された
ハーツクライ産駒。全兄
ナックイルシーブは芝2000m以上で2勝を挙げている。
本馬は9月8日の坂路で古馬1勝クラスの
ダノンフォーナインを追走して先着。時計が4F51.4秒と速い時計をマークしたが、それ以上に併せた相手が先週の1勝Cを完勝しているところにこの併せ馬のレベルの高さが分かる。
9月15日は
和田竜二騎手が跨り、新馬と芝馬場で併せ馬。楽に先着したあたり、坂路だけでなく、トラックでもきっちり動けるところを見せており、初戦から注目を集めるのは間違いないだろう。
(取材・文:井内利彰)