10月10日に
盛岡競馬場で行われる
マイルCS南部杯(3歳上・JpnI・ダ1600m)。かつて
トウケイニセイ、
ユートピア、
ブルーコンコルドや
ベストウォーリア、
コパノリッキーなどが制しているリピーターレースであり、例年実績に伴う人気サイドでの決着となるため波乱事例は少ない。
しかし2010年の
マイルCS南部杯は例外的に三連単131万円の大波乱となった。勝ち馬の名は
オーロマイスター。当時G1級競走5連勝中で米国遠征を控えていた、単勝1.0倍の『怪物』
エスポワールシチーを3馬身突き放しての快勝だった。
オーロマイスターは
父ゴールドアリュール、
母フェアリーワルツ、母の
父Lear Fanという血統。
2007年11月に東京競馬場で行われた2歳新馬戦(芝1800m)でデビューし、初陣を白星で飾った。→4歳時の5月まで芝のレースに出走し2勝を挙げ、以降ダート路線に転向すると戦績が安定、2010年1月にオープン戦初勝利を飾った。同年の
エルムSで2着となり、迎えた
南部杯本番では4番手の評価だったが、同期のスターホース・
エスポワールシチーが単勝1.0倍の支持を受けていたこともあり、
オーロマイスターの単勝オッズは20.2倍となっていた。
レース本番、これまで安定した先行力で勝ち星を重ねてきた
エスポワールシチーに対し、
オーロマイスターは外枠から勢いよく先手を主張。そこに
セレスハントが加わっての先行争いとなった。
セレスハントが脱落するなか、
オーロマイスターは勢いよく抜け出してコーナーを回り、そこに
エスポワールシチーが襲い掛かる。しかし
オーロマイスターはそこからさらに二の脚を発揮し、最速の上がり3Fタイムを繰り出し、見事1着でゴール板に飛び込んだ。
またこのレースにはもう1頭、波乱の立役者がいる。高知競馬所属だった
グランシュヴァリエである。
父タヤスツヨシ、
母ラストキッス、母の
父マルゼンスキーという血統。2008年2月に
JRA所属馬としてデビューし、中央で3勝を挙げたものの故障を発生、高知に移籍することとなった。
その後、高知所属馬として各地を転戦。
帝王賞や
ブリーダーズGC、
日本テレビ盃などに出走した。
マイルCS南部杯では単勝636.3倍という人気薄ながらレース序盤から先団に取りつき、最終直線では一瞬
エスポワールシチーと
オーロマイスターをかわして先頭に立つシーンもあった。
テスタマッタ、
メイショウバトラー、
バーディバーディなど強豪が揃うなか3着入線を果たし、複勝払戻は3460円となった。
今年は
ブルーコンコルド以来の3連覇を狙う
アルクトス、
フェブラリーSを連覇した
カフェファラオ、重賞連勝中の
シャマル、19年覇者
サンライズノヴァ、兵庫の雄
イグナイター、古豪
エアスピネルや
タイムフライヤーなど錚々たるメンバーが揃った。新たなるドラマの誕生に期待したい。