牡馬クラシック3冠の最後を飾る
菊花賞(23日=阪神芝内3000メートル)といえば昨年、
タイトルホルダーが圧巻の逃走劇を演じたのは記憶に新しい。抜きんでた主役不在の今年、記者が注目しているのは
タイトルホルダーと同じ
ドゥラメンテ産駒で、近親に
ディープインパクトなどの名馬がズラリと並ぶ良血馬
ドゥラドーレスである。
前走の
藻岩山特別(2勝クラス)快勝時、鞍上の横山武は「このクラスにいる馬ではないと思っていました」と絶賛し、すぐに自ら「
菊花賞でも乗せてください」と宮田調教師に騎乗を志願したという。良血馬の開花をハッキリと見て取れたからこそだろう。
ここで時計の針をデビュー時に戻したい。新馬戦→
セントポーリア賞(1勝クラス)と連勝後、満を持して臨んだ初重賞の
毎日杯で0秒2差の3着。決して凡走ではない。にもかかわらず、早々に
日本ダービー参戦を断念し、秋に目標を切り替えた経緯がある。
それだけに勝って大舞台へ向けて弾みをつけるもくろみが崩れた復帰戦(
ホンコンJCT1番人気3着)は陣営にはショックの大きい敗戦だった。
菊花賞に向けて、もう負けは許されない。牧場と連携して馬づくりを行う中で、中間に行った対策のひとつが「クロス鼻革」の導入だ。
「初の小回り、稍重の洋芝、最内枠と不安はありましたが、想像以上にためが利き、一瞬のスペースを突くことができました。最高の内容でした」
前走快勝に宮田調教師が胸をなでおろしたのは言うまでもない。しかし、本番は3000メートルの長丁場。距離を持たせるために折り合いを重視するなら、ハミをかむクセを修正する必要がある。
「クロス鼻革を継続しつつ、リングハミに替えて口が軽くなりましたね。程よい前向きさもあり、コントロールも良くなりました。これなら距離をこなしてくれそうです」
実際、横山武がまたがった1週前追い切りでは、南ウッド3頭併せの最内からしまい伸びて堂々の最先着。5ハロン66.4-11.6秒と抜群の瞬発力を発揮した。そう、超良血馬
ドゥラドーレスはさらなる進化を遂げているのだ。
美浦の“
ヤングリーダー”宮田調教師がGI初制覇を飾るのは「時間の問題」との声が多いが、この
菊花賞が“その時”となるのではないか。記者はそんな予感がしてならない。
(美浦の開花間近野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ