チャンスザローゼスが制した先週のリステッド・アイビーS(22日)が昨年、後のダービー馬
ドウデュースなどを出した牡馬の出世レースなら、今週のGIII
アルテミスS(29日=東京芝1600メートル)は牝馬クラシックへの登竜門。一昨年の
ソダシを筆頭に、17年
ラッキーライラック、16年
リスグラシュー…近年の勝ち馬には後の名牝たちが名を連ねている。
今年、
ミシシッピテソーロをエントリーした畠山調教師は、この
アルテミスSが持つ重要性を肌で知る人物と言えるだろう。15年に所属の
ウインファビラスが
新潟2歳S2着後に出走。5着と結果は伴わなかったものの、続く2歳女王決定戦・阪神JFでは10番人気の低評価を覆し、
メジャーエンブレムの2着に激走してみせた。
そんな
ウインファビラスの蹄跡を踏まえると、
ミシシッピテソーロのローテーションには強い意志を感じる。新馬(東京芝1600メートル)→
ダリア賞(新潟芝内1400メートル)で無傷の連勝を決めながらも、
新潟2歳Sをパスして
アルテミスSへの直行を選択。つまり、
ウインファビラスの例を踏襲しなかったのは、やはり“その先”を見据えたからこそなのか?
「クラシックを意識する馬が集まるレース。そんなメンバーに入って、どこまでやれるのかというのが正直なところです」
そう切り出したのは畠山調教師。やはり強い相手が揃うのは承知で、あえてぶつけてきたのは間違いない。
「新馬戦をいい形で勝てたうえに、内回りがどうかと思っていた
ダリア賞でもうまく対応してくれましたからね。それで“強いところに行ってみよう”と。放牧からもっと早く戻して別のレースを使う選択肢もあったのですが、あえてチャレンジするほうを選びました。おかげで間隔をしっかり空けられたのは良かったと思っています」
チャレンジャーの立場を強調する一方で、成長を促すいい期間にもつながったことに手応えをつかんでいる。
「デビュー前の感じだと、競馬を覚えるにつれて距離が短くなっていきそうな雰囲気もあったんですけどね。意外とコントロールが利いて、ジョッキーとのコンタクトにも余裕があります。だからこそ、レースでしっかりした脚が使えているのでしょうね」
デビューから手綱を取る木幡巧も当然ながら気合十分だ。中間の追い切りにも付きっきりで騎乗し、1週前は南ウッド3頭併せで堂々、最先着を果たした(6ハロン84.2-11.5秒)。
「動かせば動いてしまうこともあって、併せ馬をしたのは久々だったんですけどね。ギアの入れ方が上手だったし、しまいも余裕を残してのフィニッシュ。ここまでの2連勝が本当にいい内容でしたし、ポテンシャルは持っていると思います」と腕をぶす。
強敵相手のこの一戦は試金石であると同時に、目指すステージに駆け上がるためには避けては通れない一戦でもある。
ミシシッピテソーロはクラシックへと続く道を見事に切り開けるのか、注目して見守りたい。
(立川敬太)
東京スポーツ