◆第166回
天皇賞・秋(10月30日、東京・芝2000メートル、良)
イクイノックスの勝因を一言でいうなら、
ルメール騎手の「
ナイスプレー」。春と比べると馬自身も一段と良くはなっていたが、鞍上も完璧に長所を生かしたレースをした。
私の目には春の2戦は少しもったいない、力を出し切っていない競馬をしているように映っていた。
イクイノックスは
キタサンブラック産駒で体形が長め。こういう馬は器用さに欠けるとまでは言わないが、スッと反応しきれないタイプが多い。
ルメール騎手は春シーズンとは違い、道中で内に入れたりせず、終始外めから運んでいた。
私も
サクラユタカオー(1986年)で勝った時はゴチャゴチャした所に入れず、ゆったり走らせることを心がけた。
イクイノックスも道中をのびのびと走らせたから、直線であれだけの脚が使えたわけだ。もともと能力の高さを見せていた馬が、ついにG1を制した。今後もタイトルを積み上げていく可能性を十分に示したレースだった。
2着の
パンサラッサはハイペースで飛ばしてもガタッとは止まらないとは思っていたが、あそこまで粘れるのだからやはり地力がある。3着の
ダノンベルーガは
ハーツクライ産駒で、これからさらに良くなってきそう。
イクイノックス以下、上位5着までは力が一枚上、そんな印象も受けた。(スポーツ報知評論家)
スポーツ報知