短期免許で騎乗した1週目から2勝をマークしたのが、トム・マーカンド騎手。土日ともに東京で騎乗し、29日には6番人気の
カトゥルスフェリスを勝利に導き初勝利を飾ると、30日には4番人気の
ノイジーアプローチでV。2レースともに府中の長い直線を最大限に利用し、大外から豪快な騎乗フォームで差し切ってみせた。
イギリスでの2022シーズンは一緒に来日した妻のホリー・ドイル騎手と同じ91勝。勝率で妻に次ぐ3位だが、日本でもおなじみのウィ
リアム・ビュイック騎手(157勝)に次ぐ勝利数で、今年はクイーンエリザベス2世SなどG1・3勝を挙げている。
26日に短期免許の手続きのため、夫婦で美浦トレセンを訪れた際に初めてその姿を目にした。Hドイル騎手は騎手ベストを試着する時に、羽織っている上着を脱いだ際、日本の騎手ではお目にかかれない、体全体が一段階モリっと上がった「鍛え上げられた肉体」といった印象。豪快に追う姿が自然と想像できた。その点、マーカンド騎手は、お世辞にもマッチョとは言えない、いわばスマートな立ち姿。そこからあの豪快なフォームは想像だにできなかった。
しかし来日即2勝。初の日本だけにそれほど乗り馬に恵まれていた訳ではなく、上々な船出と言えるだろう。初勝利のセレモニーでは「僕のほうが先に勝利することになりましたが、彼女も早く初勝利を挙げて、これから先、何勝もできることを願っています」と、2つ年上の妻を思いやった24歳。
天皇賞・秋では
アブレイズにも騎乗し、さらに経験値も高めた。一方、妻のHドイル騎手も2着2度。今後の活躍を予感させる“デビュー戦”だった。夫は「これからも夫婦ともども頑張って乗っていきたい」と言えば、妻は「イギリスで住んでいるところは小さな町なので多くのことを経験してみたい」と話す。“夫婦ジョッキー”の活躍を予感せずにはいられない。(石行 佑介)
スポーツ報知