◆第60回
アルゼンチン共和国杯・G2(11月6日、東京・芝2500メートル、良)
アルゼンチン共和国杯・G2は6日、東京競馬場の芝2500メートルで争われ、オープン入りを果たしたばかりの6番人気の
ブレークアップ(田辺)が重賞初制覇。ひと夏を越して大きく成長した“上がり馬”が、視線の先にG1の大舞台を見据えた。
冷静な手綱さばきがさえ渡った。4角3番手で運んだ
ブレークアップは、直線の入り口で逃げた
キングオブドラゴンが内ラチに接触して外によれるアク
シデントをうまくかわして加速。先頭に立ってからもしぶとく、最後は2着馬に1馬身1/4差をつけて重賞初制覇だ。田辺は「まさか勝てるとは。正直、びっくりするほどうれしい」とイメージ通りの快勝に少し声が弾んだ。
これまで前で積極的に粘る競馬が身上だったが、前走の六社S(東京、芝2400メートル)は好位3番手から直線でためた末脚を発揮して勝利と新境地を開いた。「前走は控えてもしまいの踏ん張りがよく見えたので、それにかけた。思った通りのいいレースでした」と鞍上。自身は8戦ぶりとなる久々のコンビだったが、逃げるパターンも選択肢に入れながら、逃げ馬の後ろで構える作戦通りの好騎乗で勝利をたぐり寄せた。
デビュー以来、適度な間隔を空けてコンスタントに使ってきたが、今夏にしっかり休ませたことが成長につながった。黒岩調教師は「夏場に(長距離の)適性のある番組がなく、無理して使わなかった。それで前走あたりから走りが良くなって、体が起きて
バランス良く走れて切れるようになった」と説明。3勝クラス勝ち直後にG2制覇と、絵に描いたような“上がり馬”の本格化した走りだった。
大きなタイトルを手にして、次はさらなる大舞台が視界に入ってくる。「今後は
ジャパンC(11月27日、東京)か
有馬記念(12月25日、中山)を目標に」と黒岩師。並みいる実績馬相手につかんだ白星は価値が高く、じっくりと遅咲きの4歳馬が文字通りブレイクした。(坂本 達洋)
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ブレークアップ 父
ノヴェリスト、
母リトルジュン(
父クロフネ)。美浦・
黒岩陽一厩舎所属の牡4歳。北海道浦河町・谷川牧場の生産。通算17戦5勝。総獲得賞金は1億2561万2000円。重賞初勝利。馬主は阿部東亜子氏。
スポーツ報知