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【エリザベス女王杯】岡オーナーと幸をつなぐアカイイトの物語は続く

スポニチ
  • 2022年11月11日(金) 05時30分
 【競馬人生劇場・平松さとし】2003年、幸英明騎手を背に牝馬3冠馬となったスティルインラブ。3冠達成を祝うパーティーが終わった後、彼は1人の男性を紹介してもらった。

 「馬主免許を取得される前の岡浩二オーナーと、偶然、知り合いました」

 その後、オーナーとなった岡氏の愛馬で、20年にデビューから3連勝したのが九州産馬のヨカヨカだった。同馬を管理していたのは谷潔師。幸騎手の師匠だった谷八郎元調教師(引退)の子息だった。

 「ヨカヨカが3連勝する少し前に谷八郎先生は亡くなってしまいました。先生は現役時代、九州産馬をサポートされる事で有名だっただけに、活躍をみる事なく逝ってしまったのは残念でした」と幸騎手。

 それから1年後、谷八郎元調教師の一周忌の法要があった。その直後、幸騎手はヨカヨカに乗って北九州記念(G3)を優勝。いざG1・スプリンターズSへ向かおうと意気込んだ。しかし…。

 「故障して、競走能力を断たれてしまいました」

 そんな時、入れ替わるように岡オーナーの馬でG1に騎乗するチャンスが訪れた。エリザベス女王杯(G1)に出走するアカイイトは、前任者である横山典弘騎手に他の騎乗馬がいたため、その鞍上が空位になったのだ。

 「ノリさん(横山典騎手)が乗れないと分かった段階ですぐに僕に声をかけてくださったそうです」

 幸騎手は岡オーナーのそんな心意気がうれしかった。こうしてレースで乗ると「ノリさんが教育してくれていたので乗りやすかった」(幸騎手)こともあり、強気の競馬ができた。自ら動き先頭に立つと、2馬身抜け出してゴール。完勝だった。岡氏と知り合った直後の03年のエリザベス女王杯には、3冠牝馬のスティルインラブで挑み鼻差の惜敗をしていた。それから18年の時を経て、幸騎手はついにエリザベス女王杯を制したのだった。

 さて、アカイイトは今年も幸騎手を背に今週末のエリザベス女王杯に出走する。物語がまだ続くことを願っているのは岡オーナーだけではないだろう。期待したい。 (フリーライター)

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