GII東京スポーツ杯2歳S(19日=東京芝1800メートル)が、クラシック戦線でいかに重要な立ち位置にあるかは歴代の勝ち馬が示す通り。それ以上の説明はもはや不要だろう。今年も素質馬たちが多くエントリー。その数少ない戦歴から潜在能力をどう見抜くかが最大のポイントになる中、当欄はあえて“負けを知る”
ダノンザタイガーをピックアップしてみた。
管理する国枝調教師は言わずと知れた名トレーナーながら、牡馬クラシックとは不思議と無縁(牝馬3冠は計7勝)。“美浦の七不思議”のひとつとして話題に上がることも多くなった。先月、行われた
JRA通算1000勝達成の記念式典で「競馬にかかわるものとして、やはり
日本ダービーを勝つことは大きな夢。(引退まで)あと3年半、しっかりチャレンジしていきたい」と改めて意欲を示したシーンは実に印象深いものだった。
そんな国枝調教師の夢をかなえることになるかもしれないのが
ダノンザタイガー。1週前追い切りでは同厩
モーソンピーク(古馬2勝クラス)と併せて2馬身の先着(南ウッド5ハロン65.6-11.4秒)。抜群の脚力をまざまざと見せつけた。
「抜けて行く時に少しフワッとしても、しまいは11.4秒といい数字。順調に来ているし、これまでに比べても良くなっている。秋になって成長して、体つき、筋肉にメリハリがついてきた。それに男馬らしい
プライドが出てきて、上から目線というか、いい意味で生意気になってきたよね。それくらいでちょうどいい」(国枝調教師)
デビュー戦はスタートで後手に回ったり、直線でフラついたりと課題を残しての2着敗戦となったが、2戦目はあっさりとものにした。
「折り合いもいいし、競馬に行っての問題点は今はもう特にない。むしろもっとグンと行くくらいの気持ちが出てきてもいいくらいかな。とにかく利口な馬。同じ
ハーツクライ産駒で比較すると、
ハーツイストワール(
アルゼンチン共和国杯2着)の若いころに比べてしっかりしている。向こうはずっと体がついてこなかったからね。そういう意味では点数は高いよ。力のある馬はこの東スポ杯か、
共同通信杯あたりでってことになる。そんな中でどういう競馬ができるかだね」
クラシックロードへ向けた登竜門で、果たして
ダノンザタイガーはいかなる走りを見せるのか。結果が伴えばトレーナーの夢が現実に大きく近づくことも、近年の勝ち馬が示す通りだ。
(立川敬太)
東京スポーツ