苦笑いをすることも多かったころとは違う高柳大調教師の表情を見て、心の底からこう思う。
テーオーケインズの牙城は揺るがないな──と。つまり、今年のチャンピオンズC(4日=中京ダート1800メートル)は相手の選択のみが重要な一戦ということになる。
新谷厩舎の松田助手が「頭まであるかも」と言い残し、実際に面白いところまでいった
クラウンプライドとの
JBCクラシック・ワンツーライン。これが結構なレベルで堅いと思っているので、これにておしまい…でも個人的にはまったく問題ないのだが、一人でも多くの読者が幸せになるよう、本紙担当でもないローカルの中京でも粉骨砕身で
ローラー作戦を展開。3連複、もしくは3連単の相手3頭をピックアップしてきた。
先の米
BCクラシックを楽勝した
フライトラインも1年前は1400メートルを走っていた。競走馬はスピードこそが最優先と思えば、初距離に挑む
シャマルがまず侮れない。松下調教師も「この馬はスタートが抜群にいいので、常に欲しい位置が取れる。距離に関してはやってみないとわからないけど、こなすようなら面白いかも」と。前残りも少なくない中京のダート1800メートル。一票を投じる価値はあると感じた。
一方、前向きな発言の多い音無厩舎の平井助手のトーンが上がり切らなかった前走の
日本テレビ盃は予定通りの敗戦? 細かいことは赤城記者の「トレセン発秘話」を参照してほしいが、間違いのない事実は前走時とは陣営のトーンが違う
ノットゥルノは買わねばならぬこと。左回りがダメではないことだけはここで強調しておきたい。
そして最後に3走前の
ジュライSでダートに転向すると聞いたとき、思わず「なんで?」と聞いてしまった
ジュンライトボルト。友道厩舎の担当として、デビュー段階から馬のことはよく知っているつもり。ダート馬にありがちな硬さもなく、つなぎが立っているわけでもない。芝を使い続けることに何の疑問も持たなかった。
大江助手は「芝ではもうひとつはじけ切れなくなっているし、以前よりも
パワーがついてきているので」と理由を説明していたが、ダート適性うんぬんの前の段階で、小回りよりも広いコース向き、モタれグセの関係から右回りよりも左回りのほうがいい馬。
ゆえに小回り&右回りの福島が舞台でも2着に好走した
ジュライSは、見た目にそぐわない“異常なダート適性”を認識させられた特別な一戦だ。ベスト条件に替わった近2走の連勝も当然といえば当然なのである。
芝で走っていた時代とダート王となったころでは馬体の厚みがまるで違った
ヴァーミリアン。あれほどの変化はさすがに起こっていないが、ダートを使っている効果か、それとも連勝で勢いに乗っているためか、「結構な強い負荷をかけた調教ができているんですよ。肉付きが良くなって、ダート馬らしい、たくましさが出ている気がする」と大江助手。確かに。以前よりも分厚くなっているような気がしないでもない。
なんにせよ、友道厩舎に初のダート重賞勝ちをもたらした異色の存在。厩舎初のダートGI勝ちは…
テーオーケインズがいるので無理かもしれないが、この
ジュンライトボルトも買い目には絶対に入れるべき馬だ。
(栗東の紙面独占野郎・松浪大樹)
東京スポーツ