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有馬記念・G1」(25日、中山)
メッシ擁するアルゼンチンの優勝で幕を閉じた今年最大のスポーツの祭典・サッカーW杯。過去のW杯イヤーにおける
グランプリ覇者にスポットを当てて歴史を振り返る。
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06年、日本競馬界は特別な年末を迎えていた。
ディープインパクトの年内での引退が発表され、ラストランとなる
グランプリは異様な盛り上がりを見せていた。
中山競馬場に詰め掛けたファンは11万7251人。その全ての視線を集めていた。4歳になったヒーローにとって、1年前に初黒星を喫した一戦。2走前の
凱旋門賞では3位入線後に失格という屈辱を味わっていた。単勝1・2倍。その思いに応える必要があった。
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ディープインパクトの良さを生かすレースをしたい」。レース前、緊張感が漂っていた
武豊だが、言葉通りの結果になった。普段通りに後方から進めると、メンバー最速の上がり3F33秒8の末脚を発揮して最後は3馬身差の圧勝。「いつでも飛べる態勢でした。でも『待ってくれ』という思いでした。直線はやはり飛んでくれましたね。惜しまれていい形で引退できたのは素晴らしいこと。世界一の馬だと思っています」。鞍上はレース後の会見で感触をそう伝えた。
14戦12勝、G1・7勝。夕闇の中行われた引退式には、別れを惜しむ5万人ものファンが最後まで残り、勇姿を見届けていた。それが競馬界に衝撃を与え続け、ターフを飛び続けた名馬の
ラストシーンだった。
提供:デイリースポーツ