「孫みたいなもんやからな。ようやく担当できてほんまにうれしいわ」
2歳中距離王を決する第39回
ホープフルS(28日=中山芝内2000メートル)に無傷の3連勝をかけて挑む
セブンマジシャンに対して、入厩当初からニコニコ顔だったのが大ベテランの加藤助手だ。
母の
ハピネスダンサーは加藤助手がデビュー時から手掛け、現役時5勝を挙げた活躍馬。初子、2番子と別の厩舎でのデビューが続いた後、念願かなって
ハピネスダンサーの子供に携われるとあって、
セブンマジシャンに向けるまなざしはまさに孫を見るおじいちゃんのよう(まだ若いのに失礼)。それだけでも十分にほほ笑ましいのだが、そのおじいちゃんを来春のクラシックの舞台まで連れて行ってしまう予感十分なのだ。
「競馬場に着いてから堂々としているんだよね。環境の変化に動じることがないし、適応力がとにかくすごい」
加藤助手がそう振り返るように、長距離輸送後の中山で番手から抜け出して新馬戦を快勝すると、前走の阪神・
黄菊賞では道中で一旦は最後方になりながらも直線一気にはじけてみせた。どんな状況下でも能力をしっかり発揮してくれる2歳馬らしからぬ精神力が大きな魅力。そして中山と縁がありまくりの血統背景もまた
セブンマジシャンの可能性をさらに膨らませてくれている。
「こんなに流星は派手じゃなかったけど、目元なんかは母親にソックリ。お母さんは中山で
ミモザ賞を勝っているし、母の
父メイショウサムソンは
皐月賞馬。それに母の妹
クロノジェネシスは
有馬記念を制している。この血統は中山との相性がいいんだよ」
当方が競馬担当になってから18年がたとうか。こうやって血が織り成すドラマを間近で見ることができるのは記者冥利に尽きる。
セブンマジシャンには血統通り中山巧者ぶりを存分に発揮してもらって、無傷の3連勝を決めた孫を目一杯に自慢する加藤助手のほほ笑えましいシーンを見たいものである。
(難波田忠雄)
東京スポーツ