◆第68回
東京大賞典・G1(12月29日、大井・ダート2000メートル、良)
第68回
東京大賞典・G1が29日、
大井競馬場のダート2000メートルで14頭(
JRA6、南関東7、他地区1)によって争われた。今年から優勝賞金が1億円に増額された年末の砂の大一番を制したのは、2番人気の
ウシュバテソーロ(横山和)。ダート路線に転じて5戦目、重賞初参戦だったが、直線で豪快に脚を伸ばし、1馬身3/4差をつけて快勝し、G1ホースの仲間入りを果たした。4着まで
JRA勢が独占した。
砂の新王者誕生だ。ゴールの瞬間、
ウシュバテソーロの横山和は高々と腕を振り上げた。3歳ダート王の
ノットゥルノ、
帝王賞馬の
メイショウハリオを下し、重賞初挑戦でG1タイトルをつかんだ。
序盤はスローな流れに苦しんだ。しかし、3コーナー手前で一斉に各馬が動き出すとペースも上がり、隊列も流れた。これで「人も馬も冷静になれた」と横山和。レースが動いた瞬間を見逃さず、外を回って追い上げていく。最後の直線で抜け出してからも523キロの巨体を力強く躍動。一歩、また一歩と着実に後続を引き離す。勢いは最後まで止まらず、最後は1馬身3/4差をつけて先頭でゴール板を駆け抜けた。
相棒の首を
ポンポンッとタッチし、頑張りをたたえた鞍上は「大井は合っていると思っていたので、ある程度のポジションが欲しかったし、リズムを取りながら運んだ。でも流れが遅く、しんどくなった場面もありましたね。なんとか頑張ってくれ!と思いました」と激闘の後の汗を光らせながら振り返った。
今春、ダートに舞台を転じた5歳馬は才能を開花させ、5戦4勝で頂点に駆け上がった。管理する高木調教師は15年に
サウンドトゥルーで制して以来、7年ぶり2度目の制覇。この砂の王を育て上げた名将が「今の勢いなら挑戦する価値がある」と参戦を決断。
中山大障害の
ニシノデイジーに続いて年末の名物レースをものにした指揮官は「スローだったので“あれっ”てなりましたね。折り合いに苦労してそうなところも見られた。でも、ジョッキーが馬のことを分かっていますから。最後は力が入りましたね」と笑みを浮かべた。
次走は未定だが、ダートのチャンピオンディスタンスで強豪を撃破。長く砂の王座に君臨し、G1・3勝を挙げた厩舎の先輩の背中を追う戦いが始まる。(志賀 浩子)
ウシュバテソーロ 父
オルフェーヴル、
母ミルフィアタッチ(
父キングカメハメハ)。美浦・
高木登厩舎所属の牡5歳。北海道新ひだか町・千代田牧場の生産。通算27戦7勝(うち地方1戦1勝)。総獲得賞金は2億1988万4000円(うち地方1億円)。重賞初制覇。馬主は了徳寺健二ホールディングス(株)。
スポーツ報知