GIフェブラリーSと同日、同舞台で開催されるリステッド・
ヒヤシンスSといえば、3歳ダート戦線の登竜門的に位置づけられ、昨年の
最優秀ダートホースに輝いた
カフェファラオは2020年の当レースを制した後にGI3勝馬まで上り詰めたのは周知の通りだ。
一方でさすがは登竜門というべきか、その後の活躍馬は勝ち馬だけにとどまらない。例えば前述
カフェファラオが勝った年の10着馬
レーヌブランシュはその後、ダート重賞で2勝を挙げているし、UAEダービーを勝ち、暮れのチャンピオンズCでもクビ差2着に入るなど大きく飛躍を遂げた
クラウンプライドの22年は
ヒヤシンスS0秒5差6着から始まっている。
その
ヒヤシンスSで
クラウンプライドからさらに0秒5遅れの8着止まりだったのが本稿の主役
ウェルカムニュースである。同期のラ
イバルたちに若干の後れは取ったものの、暮れの竹田城S快勝でオープン馬の仲間入りを果たし、勢いに乗ってGII東海S(22日=中京ダート1800メートル)で初の重賞タイトルを狙う。
「全体的に緩い馬だったし、ヤンチャでいちびりなところもあって…」
担当の千星厩務員は入厩当初の
ウェルカムニュースをこう評するが、当舞台の未勝利戦では早め先頭から8馬身差の圧勝を飾ったくらいで、2歳時からその才能の片りんは見せていた。つまり、最初の壁こそが8着に敗れた
ヒヤシンスSだった。
それまでのレースぶりとは打って変わって、序盤から後手に回る厳しい競馬を強いられ、力をまったく出せず。千星厩務員は当時を「トモが緩かったから、スタートの芝部分でスピードに乗れなかった」と振り返る。
しかし、この敗戦こそが彼にとってのターニングポイントだったのかもしれない。半年間の放牧を経て心身ともに成長した
ウェルカムニュースは、休養明け初戦の
瀬波温泉特別を2馬身半差で快勝すると、次走の
JRAアニバーサリーSこそ馬場に水が浮く極端な道悪に泣かされ3着に終わったものの、続く竹田城Sでは
ハイエンドとの壮絶なマッチレースを制してみせた。
「竹田城Sは(課題となっていた)芝スタートだったから、乗り役さんには“スピードに乗れないかもしれない”って話していたんだけどね。それなりに動けていたように、だいぶトモに力がついてきたんだろう」
千星厩務員は
ヒヤシンスSで露呈した課題をきっちりクリアしたことで確かな成長を実感。それは調教に騎乗している岩崎助手もまた感じていることだ。
「緩いところがあった馬ですが、ここにきてトモ、背腰がしっかりしてきましたね。若干あった気難しさも改善してきました。もともと馬格はあったけど、見た目にも筋肉量が増えて、実が入ってきた感じ。相手は一気に強くなりますが、胸を借りるつもりで頑張ってほしいですね」
芝では数々の重賞勝ち馬を出してきた名門・池江厩舎も、
JRAダート重賞勝ちとなると14年根岸Sの
ゴールスキーまでさかのぼらなくてはならない。
ウェルカムニュースはその名の通り、厩舎に新たな「吉報」を届ける存在になるのか、その走りに注目してほしい。
(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)
東京スポーツ