年度代表馬イクイノックスを出した
キタサンブラックと並んで昨年、大活躍を見せた種牡馬といえば
ドゥラメンテ。
タイトルホルダー(
天皇賞・春、
宝塚記念)、
スターズオンアース(
桜花賞、
オークス)、
リバティアイランド(阪神JF)、
ドゥラエレーデ(
ホープフルS)と産駒4頭が
JRA・GI計6勝を挙げ、2歳部門では絶対王者
ディープインパクトに代わって、初のリーディングサイアーに輝いた。
その偉大な父の血を受け継ぐ良血が、出世レースのリステッド・
若駒S(21日=中京芝2000メートル)に登場する。音無厩舎の期待馬
セレンディピティだ。母系もまた
フサイチコンコルドや
アンライバルドなどを出した
バレークイーンにさかのぼる良血で、
母ジェラシーも
オークス4着と活躍。担当する蛭田助手も「体が柔らかいし、バネもあるしで、とにかくセンスがいい。こういうタイプは故障をしにくいんだ。トータルですごく
バランスのいい馬ですね」と評価する。
前走の
ホープフルSでは8着に敗れたが、勝ち馬との差はわずか0秒5。「スローで頭数も多かったですからね。輸送して、ひと晩泊まったりということも含めて、いい経験ができたと思います」と蛭田助手にもまったく悲観の色はない。今後の成長いかんで、その差は逆転できようか。
とはいえ、春の大舞台に向けたサバ
イバルはすでに始まっている。3歳馬にとってこの時期は「まだ1月」ではなく、「もう1月」と言うべき状況なのは確かだ。
「ゆっくりしていたら時間がなくなるので、何とか結果を残さないと。2着では賞金を加算できないですから、しっかり勝たないと意味がない」
こう話す蛭田助手の口ぶりにも自然と熱がこもる。GI直行が王道ローテのひとつとなった現代競馬では、いかに“無駄打ち”を抑えて本番に臨めるかが重要。ゆえに、この
若駒Sはクラシック生き残りをかけた勝負の一番となる。
「順調に使っていけば、いい馬になると思いますよ。性格的にまだ危なっかしいところはあるけど、この中間はそこまで出していない。少しずつ大人になっているので、そのあたりにも期待して」
2021年8月に9歳という若さで早逝した
ドゥラメンテ。その血の価値をさらに高めるためにも、父譲りの非凡な走りで自身の道を切り開いてもらいたい。
(西谷哲生)
東京スポーツ