1月29日(日)に東京競馬場で行われる
根岸S(4歳上・GIII・ダ1400m)。
JRAのダート重賞としては3番目に長い歴史を持ち、かつて様々なダート巧者が制してきたレースだ。その中でも異彩を放つのが2002年から2003年に連覇した
サウスヴィグラス。伝統の一戦を前に彼の活躍を振り返り、今週の
根岸Sに出走する息子の
テイエムサウスダンについて触れてみたい。
サウスヴィグラスは
父エンドスウィープ、
母ダーケストスター、母の
父Star de Naskraという血統の牡馬で、現役時代は美浦の
高橋祥泰厩舎に所属していた。
1998年11月にデビューを迎え、翌月に行われた未勝利戦で初白星を挙げる。4歳シーズンまでは降級制度によって準オープンとオープンを行ったり来たりする成績が続いたが、5歳時の2001年2月に
橿原Sを勝利して再びOPに昇級。その後は重賞戦線にも顔を出したが、待望の初重賞タイトルは明け6歳と実に遅咲きの馬であった。
当時のダート戦線でお馴染み
ノボトゥルー&
ノボジャックらに加え、
ゴールドティアラや
アッミラーレが顔を揃えた2002年の
根岸S。重賞未勝利だった
サウスヴィグラスは6番人気と伏兵の域を出なかった。ところがレースでは、鞍上の
柴田善臣騎手が最内枠から巧みに捌いて外目2番手へ持ち出すと、残り400mで後方を確認するほど余裕の手応えで抜け出し1.3/4馬身差で快勝。デビュー24戦目でようやく重賞タイトル&きっかけを掴むと、“大器晩成”の素質が開花する。
その後は
黒船賞から全国の交流重賞を舞台に連勝街道を歩み、途中3戦連続のレコード勝ちを含む6連勝。これまでの不安定な成績が嘘のような快進撃を見せ、ダート短距離戦線で不動の地位を築いた。2003年の
東京盃で連勝はストップしたが、ラストランとなった
JBCスプリントで巻き返してGIタイトルを獲得。重賞8勝(内GI・1勝)という輝かしい実績を引っ提げて、種牡馬入りを果たした。
父になった
サウスヴィグラスは、8度の
地方競馬リーディングサイアーに輝くなど大成功。産駒の勝利数はいつしか5000勝を超え、約90頭の重賞ウイナーを送り出し“ダート競馬の父”といっても過言ではない成績を残した。2018年にこの世を去ったが、現在も産駒は活躍中。今週も地方・中央合わせて20頭を超える産駒が出走している。
今週末行われる
根岸Sにも産駒の
テイエムサウスダンがスタンバイ。昨年奇しくも父と同じ6番人気で制して親子制覇を達成した孝行息子は、史上3頭目の連覇と
蛯名正義厩舎の初タイトルを懸けて今年も出走する。親子で同一重賞を“連覇”となれば、間違いなく偉業。近走は惜敗が続いているが、父譲りのスピードと
パワーを活かして巻き返して欲しい。