◆第40回
フェブラリーS・G1(2月19日、東京競馬場・ダート1600メートル)
2023年の
JRAのG1開幕戦、
フェブラリーS(東京・ダート1600メートル)は節目の40回目にして、初めて外国馬が出走する。カナダの6歳牡馬、
シャールズスパイトは芝のG1ウィナー。世界の競馬に精通する吉田直哉氏が「ワールドリポート特別版」で好走の可能性を記した。
シャールズスパイトはカナダ、アメリカの芝のマイル戦で結果を出しているが、一番の強みは異なる条件の馬場でも力を発揮できることだろう。
一見同じように見える北米の芝馬場は地域によって相違がある。本馬がG1を制したキーンランド競馬場は芝が深く重いし、本馬の拠点であるウッドバイン競馬場は冬を意識したやや深めの全天候型馬場を用いている。また、米国内の遠征先ではダートでの追い切りで一番時計を含む上位のタイムを記録。適性の広さは血統構成からも読み取れる。父スペイツタウンは芝での活躍馬も出すが、基本的には自身も産駒もダート短距離系。一方、母系は母、祖母とも芝中距離のG1馬である(ちなみに祖母レディシャールには
武豊騎手が騎乗して1着となったことも)ため、距離の融通もある程度は利いている。
北米からの東京への輸送は確かにタフだ。だが、米国では検査に通れば、民間調教施設での輸出検疫が可能で、日本到着後も直接東京競馬場へ輸送できるのも負担軽減につながる。もうひとつ、春のキーンランド開催では冬場に温暖なフロリダで過ごした馬が勝つ傾向が強い。温暖な地で冬を過ごした馬は冬毛などが出ず、肌が薄いまま体調を維持できており、春先のシーズンで結果を出せると言われている。
本馬を生産、所有するフィプケ氏の本業は鉱山業だが、馬の特性を感じるセンスがある。東京で勝って種牡馬として日本の生産者へアピールしたいという思惑もあるが、東京を選んだ同氏の勘にも不気味さを感じる。発馬後控えて脚をためる競馬ができるので、東京ダートが初めて実感する砂質であっても、力を引き出せる可能性を多分に秘めている。(米ケンタッキー州・
ウィンチェスターファーム社長)
スポーツ報知