2月19日、東京競馬場で行われる
フェブラリーS(4歳上・GI・ダ1600m)。地方から唯一の参戦となる
スピーディキック(牝4、浦和・
藤原智行厩舎)が、99年の同レース以来となる地方馬の
JRA・GI制覇を目指す。大一番を前に管理する
藤原智行調教師と末田秀行厩務員、主戦を務める
御神本訓史騎手の3人が16日、NAR
グランプリ2022の記者会見に登壇。藤原師は「勝っても負けても、後悔のない馬づくりができた」と手応えを示した。
スピーディキックは父
タイセイレジェンド、
母デザートフラワー、母の
父サイレントディールという血統。
2021年6月、北海道・
門別競馬場の
JRA認定フレッシュチャレンジでデビュー。同年7月の
JRA認定
アタックチャレンジで初勝利を挙げ、9月には重賞の
リリーカップを6番人気ながら制した。続く初のダート
グレード競走となった
エーデルワイス賞(JpnIII)では、上がり最速を叩き出して勝利。その後も21年12月の
東京2歳優駿牝馬から
東京プリンセス賞まで3連勝し、
関東オークス3着を挟んで現在3連勝中と勢いに乗る。22年のNAR
グランプリ3歳最優秀牝馬で、通算成績は14戦9勝。
御神本騎手は
スピーディキックのセールスポイントについて、「牝馬特有のピリピリ感はあるものの、最近はそれも落ち着いてきた」と話す。その上で前走の
東京シンデレラマイルを例に挙げ、「久しぶりの1600mで抜群の切れ味を出してくれた。これは武器になる」と力を込めた。また末田厩務員は普段の様子について、「やんちゃところがある。レースが近づくにつれ闘争心が出てきて、こちらが大丈夫かなと思うくらい」と紹介した。
スピーディキックに関わる3人は02年に廃止された益田競馬の出身。藤原師が「祖父の代から益田で競馬に関わっており、今の知識や技術はそこで培ったもの。学んだもの全てを示したい」。御神本騎手は「自分もかつては益田だが今は大井の所属。これも
スピーディキックがつないでくれた運命」と思いを語った。また末田厩務員は「益田で基礎をつくってもらったからこそ、今がある」と胸を張った。
目の前に迫った運命の一戦に向けて、それぞれ闘志を燃やす。藤原師は「これまでのコンディションを整える調教から、GIに向けては馬を鍛える調教をしてきた。歩様の状態も全く崩れることなく、本当にいい状態で出走できる」、御神本騎手は「レースの質が異なりスピード競馬に圧倒されるかもしれないが、
スピーディキックの素質に期待している」と話した。末田厩務員は「気合いが入っている。あと2日頑張ってほしい」と無事を祈った。
“チーム益田”が大記録を達成するのか、その走りが注目される。