【リヤド(サウジアラビア)26日=吉村 達】日本馬初の快挙だ! 25日に行われた
サウジカップ・G1(キングアブドゥルアジーズ競馬場)を
パンサラッサ(牡6歳、栗東・矢作厩舎)が制し、世界最高の1賞賞金1000万ドル(約13億6000万円)を手に入れた。
日本の逃亡者が、とんでもない大仕事をやってのけた。
吉田豊の励ましに応え、
パンサラッサがゴール前でもうひと伸び。外から迫った昨年のドバイ・ワールドC覇者、
カントリーグラマーを3/4馬身差で振り切った。22年ドバイ・ターフに続く2度目の海外G1勝利。創設4年目の世界最高賞金レースを日本調教馬として初めて制した矢作調教師は「この世でこんなことが起きるなんて…信じられない」と興奮で声を震わせた。
「今日はスタートが決まったので、安心して
パンサラッサの競馬をしようと。あとは馬場が向くかどうかでした」と
吉田豊。迷わず押して主導権を奪って隊列を引っ張り、4コーナーで少しずつ差を広げ、そのまま完封。「二枚腰がある馬で、しのいでくれましたね。忘れられないレースになりました。騎手をやっていて良かった」と鞍上は感激に浸った。
サウジでは昨年の3勝に続き、この日も2勝。一昨年の米ブ
リーダーズCでは日本馬初の北米ダートG1制覇など歴史的な2勝を挙げた“チーム矢作”。
パンサラッサの
吉田豊は騎手デビューした時から30年の付き合い。レース後に号泣した池田康宏厩務員は今夏に定年引退を迎えるが、05年の開業当初から苦労を分かち合ってきた。快挙を成し遂げた矢作師は「挑戦を繰り返して経験を積み、チームが熟成、完成形に近づいてきたのかなと思います」と胸を張った。
パンサラッサの次走として候補に挙がるのが、1か月後のドバイ・ワールドC(3月25日、メイダン競馬場・ダート2000メートル)だ。馬場の特徴を的確に見抜き、
ロードカナロア産駒を2年2か月ぶり2度目のダート起用で最高の成果に導いた“世界の矢作”は「僕のフィーリングがすごかったということです」と会見場の笑いを誘った。チーム一丸で、まだまだ大きな獲物を釣り上げていく。
スポーツ報知